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昭和56年(1981)10月11日、琴浦町別宮で採集

歌詞

ひとろろ ふたろろ みんみが よことて いつやら 婿さん
なんとて やさしや ここのはで 取って行った
(歌い手:明治43年生まれ)
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解説

 これは羽根突き歌である。正月になると女の子たちは羽子板で羽根を突いて遊ぶが、歌はそのときにうたわれていた。歌の中身は、よく眺めれば一から十までの数え歌形式になっている。意味の方はあまりはっきりとは分からない。また、同じ中部地区であっても、湯梨浜町羽合の歌は少し違っている。

ひといろ ふたいろ みんみが よこと いつとや 婿と
ななつや やさし ここの道は 通らせん
(歌い手:明治35年生まれ)

 西部地区に移ると伯耆町溝口ではこうなっていた。

ひとよろ ふたよろ みんみが よこどる いつやら 昔が
なにとて やさしく この橋 通らせん
(女性・明治32年生)

 「通らせん」の語句だけは共通しているが、意味はよく分からない。
 また、東部地区の鳥取市福部町では、次の歌があった。

ひとめや ふため みよこし 嫁ご いつやの 武蔵
ななやの薬師 ここのや とお
(歌い手:明治39年生まれ)

  続いて島根県の場合を眺めてみよう。石見地方の江津市桜江町では、

ひとえや ふたえ みよとしゃ 嫁が いつ来てみても ななこの帯を
八の字に締めて ひーやふー みーやよー いつやむう ななやこのとう

(歌い手:明治38年生)

 文献にあたってみると、江戸時代に類歌があった。まず、文政3年(1820)の釈行智著『童謡集』から。

一子((ひとご))にふたご、三わたしよめご、だんにふやくし、あすこのやじや十ぅ、
こゝのやじや十ぅ。

 次に嘉永2年(1849年)の序がある小泉氐計(たいけい)著『北越月令』には、「羽子つく時の詞」として、新潟の歌が出ている。

ひ(一)とごにふ(二)たご、み(三)わかしよ(四)めこ、い(五)つよにむ(六)さし、
な(七)んのや(八)くし、こ(九)このやがと(十)をよ。

  意味ははっきりしないが、これらはいずれも古い歌のようである。


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