歌詞
鬼)子買わ 子買わ
他)子買って何にしょ
鬼)小豆飯に トト添えて ねっくりはっくり 食わしょ
他)それもよかろが 金襴緞子(きんらんどんす)羽二重レース
鬼)子一人ごしゃれ
他)どの子がよかろ
鬼)○○さんがよかろ
他)どんどと 行かっしゃい(歌い手:明治39年生まれ)
解説
屋外で子どもたちが横に二列に遊ぶときの歌だったように思う。鬼になった子と、それ以外の子どもが掛け合いでこの歌をうたい、一人ずつ、鬼のグループに入ってゆく遊びであろう。子どもをもらおうとする鬼は、初めはおいしいご馳走を食べさせると言って誘惑するが、子どもたちの方はそれに応じず、「金襴緞子」とか「羽二重レース」のように着物を与えるよう要求し、それが約束されることによって、自分たちのグループから、鬼に指名された子どもの移籍を認めるという遊びである。類歌について、島根県江津市で以前、次のものを聞いたことがある。
他)子取り子取り どの子がほしいか
鬼)一番後の子がほしい
他)あの子はやられん 何の服着せるか
鬼)銀の服着せるよ
他)何の靴履かせるか
鬼)銀の靴履かせるよ
他)取られりゃ 取ってみよ(歌い手:昭和23年生まれ他)
一人の子どもが鬼になる。他の子どもは、鬼に相対して縦に一列になり,前の子の腰を手でつかまえている。そして鬼に対し一番前の子が両手を広げて通せんぼをする。鬼は何とかして通せんぼをかいくぐり、列の一番後ろの子をつかまえようとする。そのため鬼は左へまわったり、右へ走ったり、あるいは左へ行くと見せかけて、一転右の方を攻撃するという奇襲戦法をとる。他の子どもたちは、鬼につかまるまいと、長い列を蛇のようにくねらせ、ワアワア騒いで逃げまどう。
しかし、やがて通せんばの先陣をうち破った鬼は、列の最後の子どもをつかまえてしまう。すると今度は、つかまえられた子どもが鬼になるのである。