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昭和37年(1962)3月5日、琴浦町高岡で採集

歌詞

  熊さん 熊さん まわれ右
  熊さん 熊さん 両手をついて
  熊さん 熊さん 片足あげて
  熊さん 熊さん お手々をついて
  熊さん 熊さん さようなら
(歌い手:昭和27年生まれ、当時20歳)
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解説

 これはゴム紐を持った子がいろいろな高さにゴムを固定させて、他の子どもたちが「まわれ右」ではその動作をしてゴムを跳び越える。「両手をついて」では、やはりその動作をして跳び越えるといったやり方で遊ぶ。もしも足に引っかけて跳ぶことに失敗すれば、その子はゴムを持つ子と交替するのである。
 ところで、同類を捜してみると、熊さんを主人公としたものとしては、わたしはこれ以外に鳥取県ではまだ見つけていない。ただ、島根県出雲地方の美保関町では、次の歌が見つかった。

  熊さん 熊さん 両手を腰に
 熊さん 熊さん 両手をついて
 熊さん 熊さん 帰りましょ(歌い手:下宇部尾地区の子どもたち)

 また、石見地方の三隅町井野地区でも次の歌があった。

  熊さん 熊さん おはようさん
  熊さん 熊さん  まわれ右
  熊さん 熊さん 両手をついて
 熊さん 熊さん さようなら(歌い手:昭和35年生まれ、当時11歳)

 ところで、歌の主人公が熊ではなく、猿となっている歌もある。江津市桜江町でうたわれていた。

  猿さん 猿さん まわれ右
  猿さん 猿さん お手ついて
  猿さん 猿さん 片足あげて
  猿さん 猿さん もういいよ
(歌い手:昭和35年生まれ、当時10歳)

 熊を猿に言い換えただけで、まったく遊び方は同じである。子どもの自在な思考力が、このように何の抵抗もなく、新しい歌を作り出していくのであろう。
 そうして想像の翼を広げていくと、「犬さん」「豚さん」「鳶さん」「鳩さん」…など、二音節からできている動物なら、どれでも置き換えてゴム跳び歌にすることが可能であることに気づく。
 このことから子どもたちの創作力はすばらしいことが分かる。実際、わたしたちの知らないところで、案外、そのような歌が作られているかも知れないのである。


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