歌詞
一つ ひよこが米のまま タイトコ ナイナイナイ
二つ 船には船頭さんが タイトコ ナイナイナイ
三つ 店屋の番頭さんが タイトコ ナイナイナイ
四つ 嫁さんが長袖 タイトコ ナイナイナイ
五つ 医者さんが薬箱 タイトコ ナイナイナイ
六つ 昔はよろい着て タイトコ ナイナイナイ
七つ ナミちゃんが ハンカチふって タイトコ ナイナイナイ
八つ やしん坊が 指をくわえて タイトコ ナイナイナイ
九つ 高野の弘法さんが タイトコ ナイナイナイ
十で 殿さんが お馬に乗って ハイドウドウ（伝承者：女性・大正12年生まれ）
解説
平成7年（1995）、『米子市史』民俗編調査のために、同市巌公民館でうかがったものである。この歌は「手まり歌」としてうたっていただいてはいるが、多くの地方では手遊び歌として扱われている。子供たちはこの歌を歌いながら、詞章の内容に合わせた所作を身体全体を使って行うのである。
同類として島根県の歌を紹介する。飯南町角井で平成10年（1989）にうかがったものである。
一つ ひよこが コンピラ食って ナイトコ ナイナイナイ
二つ 舟には船頭さんが ナイトコ ナイナイナイ
三つ 店屋にゃ番頭さんが ナイトコ ナイナイナイ
四つ 横浜海水浴 ナイトコ ナイナイナイ
五つ 出雲にゃ大社(おおやしろ) ナイトコ ナイナイナイ
六つ 昔はよろいばっかり ナイトコ ナイナイナイ
七つ ナミちゃんが ハンカチふって ナイトコ ナイナイナイ
八つ 痩せ坊が指くわえて ナイトコ ナイナイナイ
九つ こじきがお椀持って ナイトコ ナイナイナイ
十で 殿こさんが お馬に乗って ナイトコ ナイナイナイ（伝承者：女性・昭和5年生）
比較して基本的には同じスタイルであることは、説明するまでもないだろう。米子市のはやしことば「タイトコ、ナイナイナイ」に対して、距離的にかなり離れた島飯南町の方は「ナイトコ、ナイナイナイ」である。「タ」と「ナ」の一音違いや「四つ」「五つ」「九つ」の内容の変化は、このように離れた地域同士にしては、むしろ共通点に多さとして理解できる。そのようなところが伝承の不思議さであろうか。