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昭和57年(1982)1月7日、伯耆町溝口で採集

歌詞         
法師 法師 出串(でぐし)スギナの孫子
親子三人 ちょいと出え
(歌い手:明治32年生まれ)
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解説

 春になると野原にツクシが生えてくる。お坊さんの頭に似たような、いわゆる坊主のような形をしている。子どもたちはそれを見てツクシを摘みながら歌うのである。
 鳥取県ではおおむねどこでもツクシのことを法師と呼んでいる。『大辞林』でみれば、「法師」は次のようになっている。
(1)仏道を修め、仏法に精通し、その教えを広め導く人。僧。僧侶。出家。

(2)法体をした俗人の男子。

  子どもたちはツクシを僧侶、つまりお坊さんの頭に見立てているのである。類歌を紹介する。東部の鳥取市用瀬町鹿子では、

法師ゃどこの子 スギナの継子
おじの銭ぅ盗んで 鯛を買うてくろうて
鯛の骨が喉んつまって ガガとぬかいた(歌い手:明治30年生まれ)

中部の東伯郡湯梨浜町舎人でもほぼ同じで次のように歌われていた。

法師ゃどこの子 スギナの継子
スギナ銭を盗んで 鯛を買ってくらって
喉の骨をたてた(歌い手:明治30年生まれ)

もう一つ東部の例を見よう。八頭郡若桜町大野では

法師なんの子 スギナの継子
あえて食やぁ うまいぞ(歌い手:大正5年生まれ)

 他にもいろいろあるが鳥取県の場合、いずれもツクシは法師と言っている。
隣の島根県江津市の場合、法師とは呼ばず、「彼岸坊主」よ言っているのは、ツクシが春の彼岸時分に出てくるからだろうが、後の部分を「坊主」と呼ぶのは鳥取県の法師と言うのと同じ趣向が働いているのであろう。


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