歌詞
からす からす 勘三郎
親の恩を忘れるな(伝承者:明治39年生)
解説
夕焼け空の彼方を、ねぐら目指してカラスたちが飛んで行く。そのような情景をうたった類の歌である。『古今童謡』でも「おばか家か焼けるやら 空のはらが赤いぞ」と空の夕焼けを火事で焼ける赤さに例えている。この連想の手法は近年の収録でも変わっていない。連想力もまた継承されているのである。江戸時代に鳥取藩士の野間義学の集めた『古今童謡』にも次のように採録されている。
からす からす かめんじよ
おばか家か焼けるやら 空のはらが赤いぞ
早う行って水かけ 水かけ
八頭郡若桜町大野でも、
からす からす 勘三郎
あっちの山は火事だ
生まれたとこを忘れんな(伝承者:大正5年生)
とあり、鳥取市河原町国英山手でも、
からす からす 勘三郎 オジの家が焼けよるぞ
早ういんで 水をかけ 肥をかけ ホーイ ホイ(伝承者:明治35年生)
このようになっており、全国的に同類はうたわれていたのである。