昭和56年(1981)8月25日、鳥取市福部町左近で採集
歌詞
夏年変わらず 冬年変わらず
うちのだいじな お手まるさんを
海のもくさに 五つにまわして
これからどなたに 渡しましょいな
向こうの花子さんの お手のおひざに
おしかしっかと渡いた はいはい 受け取り申したわいな
(伝承者:明治32年生)
解説
ゴムまりなどのまだ現われなかったころ、手まりは母や祖母たちが、かわいい娘のために夜なべ仕事に、くず糸などを巻いて作った、自家製のものだった。その苦労を知っていた女の子たちは、それだけに手まりをとても大事にしていたのである。この歌にもそのような気持ちがあふれている。次の二つの歌も同様の心の通っているものである。
まず、鳥取市福部町湯山のもの。
小母(おば)にもろうた絹糸手まる
つけば汚れるときどき変わる
川に流せば柳にとまる
柳切りたし川柳 川柳
これでいっこう貸せました(伝承者:明治39年生)
次に智頭町波多のもの。
手まりよう来た おすべり煙草
煙草のむ間にゃ お茶々が煮える
お茶々煮える間にゃ おかずが煮える
おかず煮える間にゃ おままが煮える
スットコトンや また百ついた
また千ついた(伝承者:明治40年生)