鳥取県出身の世界的な彗星ハンター、本田實（ほんだ みのる）氏をご存知ですか？
本田實氏は大正２年、八頭郡八東村（現在の八頭町）に生まれました。少年時代から星に興味をもち、生涯に12個の新彗星、11個の新星を発見。当時の現役世界最多記録を樹立し、「天体発見王」とも呼ばれた世界的アマチュア天文家です。
《
本田實氏の略歴》
- 1913（大正2）年2月26日、八頭郡八東村（現在の八頭町）に生まれました。
- 10歳頃から星に興味を持つようになり、小遣いを貯めて口径28ミリのレンズを購入。望遠鏡を自作し、土星の環や木星の衛星を観測しました。17歳の頃、天文学者の神田茂の著書「彗星の話」を読み、彗星捜索を志します。
- 1941（昭和16）年、全国初の民間天文台である倉敷天文台（岡山県倉敷市）に着任しますが、すぐに太平洋戦争に出征します。シンガポールで英軍が放棄していったレンズで望遠鏡を作り、彗星を発見したのは有名なエピソードです。
- 1946（昭和21）年に復員してからは、星が見えにくい満月の夜と雨の日を除き、休むことなく天体観測を続けました。
- 1981（昭和56）年には、私費を投じて観測所「星尋山荘」（せいじんさんそう）を岡山県賀陽町（現在の吉備中央町）に建設しました。
- 生涯において、彗星を12個、新星を11個発見しましたが、これは当時の現役観測者の世界記録で、「天体発見王」と呼ばれました。
- 1990（平成2）年8月26日、倉敷天文台内で、観測データの整理中に永眠しました。
- 現在でも、八東町名誉町民、岡山県倉敷市名誉市民として顕彰されています。鳥取県内では2017（平成29）年、有志により「本田実顕彰会」が設立され、2022（令和4）年には、八頭町芸術文化交流プラザ「あーとふる八頭」3階に本田實記念館が開館しました。
| 年月日 |
主な出来事 |
1913（大正2）年
2月26日 |
八頭郡八東村（現八頭町）に生まれる。 |
1941（昭和16）年
4月1日 |
倉敷天文台の台員として着任 |
1941（昭和16）年
7月30日 |
慧（さとる）さんと結婚 |
1941（昭和16）年
8月1日 |
太平洋戦争に出征 |
1942（昭和17）年
5月 |
戦地でグリグ・スキェレルプ周期彗星を発見 |
1946（昭和21）年
5月 |
戦地から復員 |
1947（昭和22）年
11月14日 |
戦後初めての新彗星「本田彗星」を発見 |
| 1952（昭和27）年 |
財団法人倉敷天文台の主事として着任 |
| 1968（昭和43）年 |
12個目の新彗星「本田彗星」を発見。当時、現役観測者としては最多となる。 |
1970（昭和45）年
2月14日 |
初めての新星「へび座新星」を発見 |
1981（昭和56）年
6月16日 |
岡山県賀陽町（現吉備中央町）に観測所を私費で建設 |
1988（昭和63）年
10月3日 |
賀陽町の観測所を「星尋山荘」（せいじんさんそう）と命名 |
1990（平成2）年
8月24日 |
星尋山荘にて1,453回目の観測を行う（生前最後の観測となる） |
1990（平成2）年
8月26日 |
倉敷天文台内で永眠。享年77歳 |
《
主な受賞歴》
| 受賞年 |
受賞内容 |
| 1940（昭和15）年 |
米国太平洋天文学会からドノホーメダルを贈られる。その後の授与も含め、計４回授与された。 |
| 1948（昭和23）年 |
第1回倉敷市文化賞受賞 |
| 1949（昭和24）年 |
第1回岡山県文化賞、第6回中国文化賞を受賞 |
| 1963（昭和38）年 |
紫綬褒章を受賞 |
| 1976（昭和51）年 |
日本天文学会神田茂記念賞受賞 |
| 1983（昭和58）年 |
三木記念賞受賞 |
| 1984（昭和59）年 |
吉川英治文化賞受賞 |
| 1986（昭和61）年 |
八東町名誉町民として表彰（1月5日） |
| 1987（昭和62）年 |
フランス天文学会百周年記念賞
星の手帖社「チロ賞」受賞 |
参考文献：「本田 實 12の彗星を発見した天文家」本田實記念館（パンフレット）、「
本田實について」倉敷天文台（ウェブサイト）
鳥取県出身の世界的アマチュア天文家で、「天体発見王」とも呼ばれた本田實さんが、演劇の世界でよみがえります。
劇団銅鑼による演劇「星を追う人 コメットハンター」は、本田實さんと彼の生涯を追いかけた人たちの時空を超えた物語です。
詳細は「劇団銅鑼「星を追う人 コメットハンター」が上演されます」をご参照ください！
FM岡山「ソラジオトーク from OKAYAMA」で、鳥取県出身の世界的アマチュア天文家で、「天体発見王」とも呼ばれた本田實（ほんだ・みのる）さんの業績が紹介されました。
《概要》
放送日時：令和６年２月16日（金）19時55分～20時00分
出演：鳥取県 星空環境推進室長
テーマ：「星空がきれいな都道府県」
放送後にポッドキャスト版が公開され、以下のサイトでテキストを読むことができるほか、ポッドキャスト（Audee）で聞くこともできます。
FM岡山「ソラジオトーク from OKAYAMA」
https://www.fm-okayama.co.jp/tenmon/zatsugaku/zatsugaku.html#hoshitoriken
※ポッドキャストとは、インターネット上で音声コンテンツを配信するサービスです。
本田實氏の功績を称えるため、平成29年（2017年）8月、鳥取県内の有志により「本田實顕彰会」が設立されました。そして、令和4年（2022年）11月3日、八頭町芸術文化交流プラザ「あーとふる八頭」3階に本田實記念館が開館しました。
館内には、本田氏が実際に使っていた彗星観測用の望遠鏡や観測ノートなど貴重な資料が展示されています。また、本田氏が生まれ育った八頭町鍛冶屋には観測に使われた天体観測ドームが残っています。
皆さんも機会があれば、ぜひ訪れてみてください。
写真：本田實記念館の展示風景