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昭和37年(1963)3月7日、琴浦町高岡で採集

歌詞

中の中のコーバツ子
わりゃなして
背が低いだ
ゼンマイ梶原(かじわら)
いささですぼんだ
(伝承者:大正2年生)
音声再生

 

解説

 鬼になった子どもが一人、しゃがんで目隠しをする。そのまわりを他の子どもたちが輪になって手をつなぎ、この歌をうたいながら回るのである。歌の終わったところで、鬼は目隠しをしたまま、自分の後ろの子どもを手でさぐってその名前を言い当てる。うまく当たれば鬼はその子と交代、当たらなければ再び遊びを繰り返すのである。この遊びの歌はいくつかの種類がある。「中の中の小坊さん…」や「かごめかごめ籠の中の鳥は…」など、どなたもご承知のことと思う。
 さて、今回のものであるが、少し長めの歌が東部地区で見つかった。岩美郡岩美町蒲生の歌である。

  中の中の小坊さんは
  なんで背が低い
  天(てん)満(ま)梶原の
  ボシャサンにかがんで
  それで背が低い
  もひとつ回りましょう
  もひとつ回って
  お札参りに
  まいりましょう
  三度目がじょうずめ
  もひとつ回って
  じょうずめ
  (女性・明治35年生)

  昭和55年8月25日にうかがったが、オーソドックスな歌は、鳥取市美和町にあった。

  中の中の小坊さんは
  なんで背が低いやら
  エンマ梶原
  イシャシャにこごんで
  後ろの正面だぁれ
   (女性・大正4年生)

  さて、鳥取藩の元禄生まれの野間義学が集めた当時のわらべ歌集『古今童謡』には、このころの同類が次のように紹介されていた。仮名づかいを現在に直して示しておこう。

  中の中の子仏は
  なぜに背が低いぞ
  エンマの梶原で
  いそいそとかがんだ
  かがんだ

 さらにもうひとつの歌が次のようにも出ていた。

  はたのはたの子仏は
  なぜに背が低いぞ
  エンマの梶原で
  いそいそとかがんだ
  かがんだ

  鳥取城下で50曲を集めたわらべ歌集『古今童謡』については、これまでにも再三触れておいたが、わらべ歌を扱った本としては、これまで世界で一番古いと言われていた、イギリスの大英博物館に所蔵される39曲を集めた『親指トムの唄』より10年余りも前のものなので、鳥取県民としては大いに誇ってもよいものであろう。


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