語り
松江城の殿さんのお嬢さんが、(11歳のある日、)駕篭に乗って大山に詣られて、帰りに赤松の池に寄られました。そして駕篭の中から出て、その池の淵まで行って帰られかけましたが、後帰りをしてまたその池の中にずーっと入って行かれたの。
それからみんなが、大きな声で呼びましたら、10メートルほど先に蛇体になって現れました。それで、
「もとの身体で出てこい。もとの身体になって出てこい」とみんなが大きな声で叫びましたけども、再び池の中に入って、そのまま帰られませんでした。
そういうことがあって、わたしたちは11歳の年には、あの赤松の池に行ってはいけない。また、大山詣りはしても、帰りには11歳の年の人は赤松の池に寄らないようにしていました。(伝承者:大正12年生)
解説
この伝説は、出雲地方や伯耆地方でよく知られている、おなじみのものである。