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令和元年度補正予算(2月臨時会)・令和2年度当初予算主要事業等について

●山本教育長

 まずは来年度から、小学校の新学習指導要領が全面実施をされます。これまでも、それに向けての対応というのは随時行ってきているわけでございますが、課題を自ら見つけて、考えて行動していける、それを主体的対話的な深い学びの中でやっていくんだという、そういうフレーズの中で語られるわけでございますが、そうしたことの中に、英語が小学校で教科化されるということでありますとか、プログラミング教育といった新しい要素もあるわけでございまして、そうしたことにもしっかり対応していく必要があるわけでございます。また、以前からの課題である学力の向上というところにつきましても、課題解決に向けて具体的な取組を行う必要もあろうかというふうに思います。また、SOCIETY5.0というこれがまたちょっと新しいフレーズができているわけでございますが、そうした時代を担う子どもたちに、今GIGAスクール構想が国のほうで進められています。それに向けてのICT利活用教育といったことに、力を入れていく必要もあろうかと思います。また、高校の教育では国際バカロレア教育ということを導入しようという新たなチャレンジも始めまして、更なる魅力化・特色化を進めるとともに、県外から募集をしっかりしようということで、その情報発信などにも力を入れて取り組むこととしております。更には、働き方改革でありますとか、PFI方式による美術館の整備が次の段階に進むことになりました。随時それぞれの項目について簡単にご説明をいたしたいと思います。

 1頁目は補正予算で、GIGAスクール推進事業ということでございます。これは、県立学校にかかる予算ということで、義務教育の小中学校につきましては、それぞれ市町村のほうで予算措置をされることになったわけでございますが、高校・特別支援学校すべての学校に高速大容量の通信が可能となる校内ネットワークを整備するという事業でございます。7億円ということでございます。これまでも校内LANを整備していたんですけども、一人一台というタブレットの構想が出ておりまして、今の校内LANの容量だと、たとえば教室の中で40人が一度にタブレットを使うと固まってしまって授業が立ち行かなくなる場面もあったわけでございますが、今後はクラス全員が使ってもスムーズにタブレットアプリが動く、そういった環境をまず整備していこうということを考えているところでございます。

 2頁のほうでは、これは市町村のほうの支援ということになりますが、せっかく入れたハードをしっかり子どもたちのために活用していく、そんなところに力を入れる必要があるわけでございますが、それぞれの市町村のほうでICT支援員というものを配置されるというもので、これは地方交付税のほうで元々予算措置をされているものでございまして、そうした方々がハードのほうには詳しいんだけれども、なかなか授業の連携の部分に力が発揮できづらい部分もあるというお話も聞いております。その辺りを県のほうで、そうした授業への活用なども含めて、スーパーバイズできる人材を活用して、市町村支援に当たっていくようなことでありますとか、プログラミング教育で市町村の学校をモデル校にして、現場に即したICT利活用を、山間地域、都市部の地域あろうかと思いますので、それぞれの受信環境等も含めた実態にあったICT利活用教育に対する支援を行っていきたいと考えております。

 また、3頁のほうは県立学校で、これまで特別支援学校にはICT教育支援員というのを配置しておりましたが、高校にはこの度初めてICT教育の利活用教育のモデル校である倉吉東高校に配置をすることとなりました。倉吉東高校のほうにはICTの活用の教育チームのようなものをつくっていただきながら、そこで進めていただく。ソフトのほうは、経産省のほうが事業をしておりまして、そうしたところに加わっている企業とも連携しながら取組を進めていくということになろうかと思いますが、教育委員会もそこをしっかりバックアップしていく必要があるわけでして、ICTの利用に長けた職員に集まってもらって、これは充て職ということではなく、得意な人を集めてICTの教育研究チームというようなものを事務局内に設置をして、モデル校とともに、それを県内に広げていく取組ができればと考えているところでございます。

 4頁は、働き方改革でございます。国のほうで昨年末に、いわゆる給特法の改正が行われて、これまでいわれてきた上限規定というのがあるわけですけども、これを教育職員にも広げていこうということで、これまではガイドラインという緩やかなかたちで示されておりましたが、それを文部科学省の告示という、学習指導要領と同じようなレベル、ある意味規範力のあるかたちで示されました。県のほうでこの度、2月の議会で条例を一部改正するとともに、教育委員会規則で上限にかかることを定めて、働き方改革を更に推進していこうと考えておるところでございます。いろいろこれまでの改善プランの中進めてきておりましたが、この予算の中では外部の人材を積極的に活用していくということを中心に予算措置をしております。業務アシスタントあるいは部活動指導員、そうしたことにつきまして、これを拡充していくというかたちで、更に推進を図ろうとしているところでございます。

 5頁は、ふるさとキャリア教育推進ということで、今年度の補正予算でスタートして、大変盛り上がってきているところでございますが、来年度はキャリアパスポートという新たな手段といいますか、そういうものを使いながら、小学校から高校まで、ふるさと学習・地域で学んだことを積み上げて、そうしたことに使用したいと考えております。また、一番下の早期プログラムというのをこれも今年度から始めておるものですけれども、地域の人々と中学生、それに大学生が混じって斜めの関係の人間づくりをしていくことで、地域で活躍している人のことを、「なんで地域に残って生活しようと思ったのか、働くことの意義はこう考えている」というようなことを直にやり取りをしながら、子どもたちにふるさとで生きるということについて、学んでいくような、そんなことも広げていきたいなというふうに思っています。これは、学校現場では非常に人気がありまして、ぜひやりたいというところが手を挙げているところでございます。

 6頁は、学力向上推進事業ということで、これまでもいろいろ取組を行ってきておりますが、これまで平成10年から18年ぐらいまで、県単独分の学力調査というものをやっておりましたが、国が悉皆調査に変わって、それをやめたわけでしたが、国の場合は、小6・中3ということで、ある一定のところで切って、状況調査をするということをやっています。学校現場からは子どもたちの成長具合が分かると、もう少し授業改善に役立つんじゃないかという指摘もあっていまして、それがなかなかこれまでの調査では、一人一人の学力の伸びを測っていくということが難しかったわけです。しかし最近、埼玉県が一人一人の伸びを追っていける、そんな調査を開発しておられるということで、埼玉県の独自調査を福島県も県として取り組まれるという情報もありまして、我々もそこに、どんな調査かというようなことを調査いたしまして、これだったら、鳥取県でもある意味での確信めいたものも得られましたので、来年度は各学年で取り組んでおられない鳥取市・米子市を皮切りに、この独自調査をやってみようということを考えております。これは学力部分だけじゃなくて、被認知能力の部分も調べるようなそうした調査も合わせて、これはアンケート形式なんですけども付いているということでございまして、これで前年度の取組はどうだったのかというのは追っていけるような、そうした仕組が要るんじゃないかなと思いました。

 7頁は、高校におきまして、いわゆる新しい学力観に基づく学びを進めていこうと。とくに、今は短期的な学習が必要だといわれています。以前は大学のゼミでやっていたような、そんな学習が、これは大学だけじゃなく、高校・中学・小学校など段々下に降りてきている状況ではないのかなあというふうに思いますが、いろんな意味で課題を自ら見つけていくような、そうした仕掛けも必要になってくるわけでございますが、そうしたことへの対応をやりますとか、あるいは英語の力につきまして、4技能といわれる、これまであまり力を入れられてなかった「話す」というところも含めてバランス良く力を付けていく。そうしたことに成長していく意味での民間試験を活用した事業化につなげていくような仕組もつくっていきたいと。

 8頁は、高校の魅力化ということで、先程申しあげました国際バカロレア教育の導入を検討してみようということで、これも先程のICTと同じく倉吉東高校を念頭において、バカロレアの高校段階でのプログラムであるディプロマ・プログラムを導入し、いろんな情報を得ながら、教育課程等をつくりあげていく、そんな取組を行っていきたいというふうに思っております。中山間地域の高校等の魅力づくりにつきましては、新たに岩美高校で、地元食材を使ったメニュー、スイーツの関係になろうかと思いますが、そうしたことを取り入れながら、学校の魅力づくりを図ったり、あるいは手話を学校の中で学んでおりますので、そうしたことを生かした、観光に生かすというようなユニバーサルツーリストというようなことにもチャレンジすることを考えているところでございます。日野高校においてはクラウドファンデングを活用してeスポーツの大会を日野高校の生徒が中心に企画して実施したということもあるわけですが、eスポーツの戦いというとか、そういうことだけではなくて、ICTを活用したいろんなプログラムを、たとえば高齢者の方々がおられるような施設で実際に高校生とやってみることで、すごく認知証の予防につながったりというようなことにも効果があるんじゃないかなということが言われ出していますので、そうしたこともしながら、福祉の分野とICTとを接続するようなそんな取組にもチャレンジするというようなことを考えているところでございます。そうした取組を含めて、県外で積極的に発信していこうということでポータルサイトをつくったり、あるいは民間のラジオ番組を1日ジャックして、鳥取県の高校のPRをしたり、あるいは大都市圏で生徒募集をし、そこで興味を持たれた人に実際に学校に来ていただき、地域の状況を見ていただく体験入学ツアーなども実施したいと考えているところでございます。

 9頁は、特別支援の関係でございますが、視覚障がい、聴覚障がいについては、中部がスポット的に弱い部分であったわけでございますが、そこに少してこ入れをして、中部において視覚障がい・聴覚障害の療育をもう少し充実していこうと考えております。具体的には、中部療育園が今度、前の河北中学校のところに移転をするということになって、そこの施設が空きますので、その施設を活用して、これまで上灘小学校の一教室を借りていたさんさん教室という聴覚障がいのクラスをそこに持っていく。そして、これまでなかった視覚障がいの拠点をそこに併せて整備するということで、いろんな機器も充実して相談体制あるいは指導体制を充実するというかたちを取らせていただきたいということになっております。

 10頁は継続事業でございますが、いじめ・不登校でスクール・ソーシャルワーカーによる家庭との連携、あるいは地域との連携・福祉施設との連携など非常に効果が上がって、引き続き取組んでいくわけでございますが、いよいよ全市町村で来年度は、このスクール・ソーシャルワーカーが配置をされるということになろうかと。なかなか人材も十分に確保できる状態ではないので、そうしたところの育成でありますとか、校長の教育研修などもやっていきたいというふうに考えております。

 11頁は、これも今年度から取組を始めておりまして、不登校の児童生徒にICTを活用して自宅学習を指導していこうということでございます。「すらら」というソフトを活用しながら指導しておりますが、中にはこれは既卒になりますけれども、高校を中退したんだけれども、この「すらら」を使って、高校の卒業程度の認定試験に合格したというような実績も出てきておりますし、まだ徐々にではありますが、これまで全然学習に思いを寄せてなかった子どもたちに、1時間はパソコンに向かって学習するようになったというようなことも出てきておりますし、実際に使ってみたいという本人や保護者のニーズも出てきておりまして、人数を少し拡充するをするとともに、高校のところのソフトを充実するようなことを図っていきたいと考えております。

 12頁は教育審議会ということでございまして、いよいよこの2月の20日になりますけれども、臨時教育委員会を開催して、県立高校の在り方、そしてまた特別支援学校の在り方、この2本の諮問を行うこととしております。県立高校につきましては、令和8年以降、高校の再編なども含めた大きな議論になろうかと思いますが、国のほうで議論されている普通科の在り方であったり、あるいは地元の産業ともすり合わせなども含めた学科の適正配置の話でありますとか、中山間地の学校をどうするのかといったことについても、議論をしていくように考えているところでございます。また、いま0歳児まで推定をすると、これからまた千人ぐらい減っていくといったことが推定をされるわけでございます。そうしたことへの対応も含めて、前回の例でいきますと1年半ぐらいかけた議論になるのかなと思いますが、いよいよ踏込んでいきたいと思います。また、特別支援学校につきましては、障がいの重度化・重複化が進んでいったり、あるいは通級指導教室というものが十分に行き渡っているのかどうなのか、今後の必要度はどうなのか、そうしたことも含めて、在り方についてご議論いただこうと考えているところでございます。

 13頁は、障がい者の就労支援ということで、障がい者雇用の関係、これは事業所としての教育委員会もなんですけども、今年度法定雇用率が達成できなかったということを踏まえて、ワークセンターなどを拡充することで雇用率も確保しながら、障がい者の就労を進めていこうと考えているところでございます。こうした非常勤の職員だけではなくて、正規の職員の雇用というところにも、これは取組んでいきたいなというふうに思っております。

 14頁は、図書館の事業でございます。今検討を進めてきております、インタラー・ファイブ・システムをいよいよ立ち上げようと考えております。図書館だけではなくて、公文書館・博物館・埋蔵文化財センター、こうした地域のいろんな資料を持っているところと連携をして、その資料をデジタル化することで研究等を推進するもので、1億円の予算も合わせて組んでおりますので、けっこう大きなシステムになるわけでございます。これからのデジタル時代の在り方として取り組みたいと思っております。丁度図書館は開設して30年を迎えるという年でもありますので、これまでの知の拠点としての図書館の在り方を一つグレードアップするようなことになります。

 15頁は、美術館整備の事業でございます。いよいよPFIの事業者を決定して、この度の議会で承認を得たら、次の段階としては、本設計・実施設計に取りかかっていただくようなそんな段階に入っていくわけでございまして、そうしたことについて関連予算を出させていただいておりますし、併せてその中のソフト、美術ラーニングセンターの機能でありますとか、あるいは県民でつくり上げていくというネットワークの構築の部分、そうしたことにつきまして予算を出させていただいているところでございます。

 16頁については、契約についての議案を出させていただいています。「鳥取県立美術館パートナーズ株式会社」という会社が立ち上げられることになります。そこと契約を結び、そこに管理もしていただくということで、指定管理者の指定につきまして、合わせて議案として出させていただこうとしています。

 17頁は、美術館の新たなステージということで、この度新たに教育委員会事務局内に、美術館整備局を新設することといたしております。部長級の局長を置きまして、その中に美術館の整備課というのを新設するというかたちになりますが、この美術館の整備課につきましては、中部に事務所を置くということで、未来中心の中に事務所を設置するということで準備を進めているところでございます。また、この整備局の美術整備課の中には、いわゆる地域振興であったり、観光の振興であったり、あるいは文化振興であったり、そうしたところの関係課の兼任というかたちになりますが入っていただいて、トータルで推進をしていく、こんな体制づくりを進めていきたいと思っております。

 また、一番下のところに、学力推進体制というところで、小中学校課の中に新たな学習指導要領の改正等に対応して学びを替えていこうということで、この中に「学びの改革推進室」というのを設けて学力向上であったり、英語教育であったり、ICTの活用教育であったり、そしてまた「ふるさと教育」というようなことをここで中心となって、全体に広げていくような、そんなことを今考えておるところでございます。

  

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