令和5年5月9日(火)に神倉後ロ山遺跡(かんのくらうしろやまいせき、三朝町)で三朝町教育委員会が実施している発掘調査の支援を行ってきました。
現地は標高660mを超える場所で、修験者の道場であった可能性が指摘されているところです。
祭壇跡と考えられている石が集められている状況の図化用画像を作成する作業(写真測量)を行ってきました。カメラを長さ約3mのポールの先端に取り付け、スマートフォンでリモート操作をしながら、タテ5m、ヨコ15mの範囲で、写真を約90枚撮影しました。
今後、写真を専用ソフトで解析し、完成した画像を三朝町教育委員会に提供する予定です。
測量前の打合せ
写真測量の様子
「埋蔵文化財発掘調査等の支援をしています!(その1)」で、お伝えしたことに加え、当センターでは、工事等が埋蔵文化財の所在する土地(以下、「包蔵地(ほうぞうち)」)で行われる場合の「調整」に必要な業務についても、市町村の支援を行っています。
包蔵地で工事が行われる場合、一般的には、事前に遺跡の広がりや遺跡が見つかる地表面からの深さ等を確認する「試掘調査(しくつちょうさ)」と呼ばれる部分的な発掘調査を市町村が実施します。試掘調査の結果と工事の設計を重ね合わせ、遺跡の範囲での工事を避けられないか、また、遺跡が出てこない深さまでの掘削に止められないかなど、工事が遺跡に影響を及ぼさないよう細かく調整を試みます。調整の結果、どうしても遺跡に影響が及ぶとなった場合に、工事の影響を受ける範囲の記録を残す「本発掘調査」を文化財保護法に基づいて実施することになります。
当センターでは、市町村が試掘調査結果から工事等との調整に必要な情報(遺跡の範囲や深さ等)を導き出すための支援や本発掘調査が必要になった場合、計画作成や経費積算等についても市町村と相談しながら支援しています。
このように市町村と当センターが協力しながら、工事中に埋蔵文化財が突然発見されることがないよう遺跡保護と開発工事との調整を行っています。
当センターでは、埋蔵文化財保護業務の最前線に立つ市町村職員の皆さんが携わっている現場に出かけ、その業務が円滑に進むよう支援を行っているところです。
試掘調査の支援の様子
[令和5年1月掲載]
鳥取県埋蔵文化財センターでは、市町村が実施している埋蔵文化財の調査等を支援する業務を行っています。
埋蔵文化財に関する業務には、歩いて遺跡の所在や遺物の有無を確認する「踏査(とうさ)」、実際に地面を掘って地下の遺跡の様子を調べる「発掘調査(はっくつちょうさ)」、発掘調査の成果を整理してまとめる「整理・報告書刊行」があります。さらに、それらの成果を活用して、地域のみなさんや研究会等へ情報発信したりその情報を地域の振興につなげたりすることもあります。
埋蔵文化財に関するこれらの業務については、遺跡が所在する市町村の文化財保護担当部局が中心になって行っていますが、体制が十分な市町村ばかりではありません。
そこで、当センターでは市町村の求めに応じて業務の支援を行っています。
市町村の文化財保護担当者とともに、山や畑などを踏査して埋蔵文化財の有無の検討を行い、発掘調査計画を作成し、発掘調査地での掘削方法、地層堆積の観察方法や図化・写真撮影の技術等を伝えています。資料の整理・報告書の刊行についても、当センターに来ていただいて、その方法を学んでもらったりしています。
このような支援に加えて、研修会を開いて体系的に埋蔵文化財に関する業務を学んでもらう機会も設けています。こうした支援をとおして、担当者の皆さんが円滑に埋蔵文化財保護に関する業務を進められるよう努めています。
踏査の様子
発掘調査地での検討の様子
[令和4年12月掲載]