多様な役割担う森林
森林は▽水を蓄え洪水を防止する▽土砂災害を食い止める▽二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防止する▽動植物の生息・生育の場▽人の心をリラックスさせる―など、多様な役割を担っています。これらの大切な機能を保全するために森林整備は大変重要ですが、林業の採算性の悪化や担い手不足で十分な森の手入れができていない現状がありました。
このため、県では2005年度から、森林環境保全税を設けて間伐や森づくり活動などを支援してきました。昨年度末で同税の適用期間が終了したことから、同等の負担で「豊かな森づくり協働税」を創設し、より県民がかかわりながら森の保全と育成を進めることを目指します。
新しい税の活用策として、収穫時期を迎えた人工林を伐採して森の若返りを図る皆伐再造林や、地域住民やNPOによる里山保全、子どもたちへの森林環境教育などがあります。今ある自然に触れ、その役割を理解することが、より豊かな地域づくりにつながっていきます。
皆伐再造林で若返りや花粉対策
森林は林齢(森林の年齢)が若いほど二酸化炭素の吸収量が高く、16年から25年をピークに、徐々に下がっていきます。健全な森の機能を保つためには「伐って、使って、植えて、育てる」というサイクルを守ることが大切です。
県内では戦後大量に植林が行われ、その半分以上が50年以上経過して収穫可能な時期を迎えたことから、成長途中の木を間引き、残った木の成長を促す「間伐」を推進してきました。今後は間伐と並行し、伐採して新たな木を植えることで森を若返らせる「皆伐再造林」に取り組みます。
同じ面積で比較すると、皆伐で生産できる木材は間伐の約5倍。県産材の安定供給につながり、県内の木材需要に占める県産材の割合を高めることが期待されています。
新たに植林するのは、主にエリートツリーと呼ばれる成長が早いスギ、ヒノキやコウヨウザンなどの早生樹。最も過酷な作業である下草刈りの作業期間が短くて済みます。収穫期はこれまでより大幅に短縮されると見込まれ、木材としての性能も遜色ありません。
また、エリートツリーの花粉量は一般的なスギ、ヒノキの半分以下。花粉は樹齢の高い木から多く飛散されるため、森の若返りを図ることが花粉対策にもつながります。
皆伐した後に苗木を植樹した森のようちえん・風りんりんの子どもたち。森を守る活動を通して、ふるさとを大切にする心が育まれる(鳥取市福部町)
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