(1)世界ではロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の不安定化など、先行き不透明な状況が続くとともに、国内においても、昨年の台風第7号や年初に発災した能登半島地震などの自然災害、長引く物価高騰、深刻さを増す少子化・人口減少といった諸課題への対応が求められるなど、時代の大きな転換点に立っている。
(2)こうした中、令和6年度地方財政計画においては、地方税等の伸びに支えられ、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税は減額となりながらも前年度を上回る一般財源が確保されたが、予算編成に当たっては、物価高騰等に起因する人件費や光熱費などの経常的経費の増嵩への対応も余儀なくされる厳しい状況となった。しかし、以下に掲げる喫緊の課題に対応するため、財政調整型基金や前年度繰越金など様々な財源を駆使し、総額3,605億円の積極型の予算を編成した。(前年度対比7.6%増)
(3)まず、「災害に強いふるさとづくり」では、能登半島地震を踏まえた緊急対策や防災DXなどの防災対策の拡充、台風第7号災害からの創造的復興、災害を乗り越えるインフラ整備を行う。
第二に、「安心して住める支え愛ふるさとづくり」では、人口減少による課題の解決やコミュニティと生活基盤の充実、長引く物価高騰への対応、脱炭素・命と健康・支え愛のまちづくりを進める。
第三に、「一人ひとりが輝くふるさとづくり」では、若者世代が活躍する地域社会の実現に向け、教育委員会や高等教育機関を巻き込んだ「とっとり若者Uターン・定住戦略本部」の設置・メタバース空間での交流等(若者目線の提案)を実施するとともに、「シン・子育て王国」の本格始動、とっとりの未来を創る人財育成、ねんりんピックや美術館開館等を捉えたスポーツ・芸術・文化の振興を推進する。
第四に、「産業と交流で活力あるふるさとづくり」では、大交流時代の観光の戦略的展開、新産業や雇用の振興・DXの推進に加え、賃上げや物流2024年問題等に対応する経営力の確保・強化、農林水産業の持続性確保・食パラダイスの発展を図る。
また、公共事業については、台風第7号災害からの復旧促進や北条湯原道路などの地域高規格道路の整備に対する積極的な予算計上などにより、平成22年度当初予算以来、14年ぶりの高水準となった。
(4)なお、財政運営に関する県民の皆様との約束である「財政誘導目標」については、令和6年度当初予算編成後において、3つの指標のいずれについても数値目標の範囲内とすることができており、引き続き健全な財政運営を堅持しているところである。
財政指標 |
R6年度当初予算後 |
数値目標 |
財政調整型基金残高 |
213億円 |
200億円以上(R8年度) |
実質的な県債残高
(※臨財債及び防災関連等の起債の交付税措置額を除く) |
3,621億円 |
3,800億円以下 (R8年度) |
プライマリーバランス |
6億円の黒字
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当初予算編成時での黒字化 |