防災・危機管理情報


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タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

タイの治安情勢

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。

 10月3日、タイの首都バンコク中心地にある大型商業施設「サイアム・パラゴン」で銃撃事件が発生し、中国人とミャンマー人の女性2人が死亡、5人が重軽傷を負いました。この事件は日本のニュースなどでも報じられたのでご存知の方も多いと思いますが、この事件の影響でバンコクの治安は悪化するのでしょうか?そもそもタイの治安はどの程度安全なのでしょうか?

 今回は今後タイを訪問される方々に向けて、タイの治安情勢についてお伝えします。(参考資料:在タイ日本国大使館「安全の手引き」)

タイの犯罪状況

 タイの治安は他の外国と比べて安全とされており、昼間であれば女性の一人歩きも危険ではありません。しかし、日本と比べると犯罪件数も数倍の割合で発生していますので、無条件で安全ということではありません。安全に滞在するためには、自ら安全対策を意識し、実行することが求められます。

 タイ警察がまとめた2022年の犯罪統計によると、殺人・傷害致死事件(未遂含む)の通報は3,381件、強制性交等事件が1,621件、盗難事件等が24,851件となっています。また、銃器・爆発物関連事案では112,993人、薬物犯罪事案では368,752人が検挙されており、薬物や銃器の氾濫が殺人事件(未遂を含む)などの凶悪事件多発の要因とも言われています。タイにおける凶悪事件の発生率は、日本と比べ非常に高い水準で推移しています。

日本人の犯罪被害状況

 2022年、タイ大使館、チェンマイ総領事館に報告があった日本人の犯罪被害で、最も多かった被害はスリ・置き引き等窃盗で、件数は 35 件となっています。スリや置き引きの手口は多様化していますが、複数名がグループになり被害者の注意をうまくそらせた上で犯行に及ぶケースが多数発生しています。実際に日本人が被害にあった事例を挙げて、対策ポイントを解説します。

人混みでのスリ

 市場や繁華街、ナイトマーケットなどの人が多く集まる場所で、背中に背負ったリュックサックから貴重品を盗まれた。

対策ポイント:混雑した場所ではバッグは体の前に持ち、財布や貴重品は後ろポケットに入れない。

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    夜の繁華街では注意が必要

 

抱きつきスリ 

 歩行中、数人の子供や女性がなれなれしく体に触れてきたり、突然抱きついてきて気をそらせ、ポケットから財布を盗まれた。

対策ポイント:歓楽街を歩く時は、常に周りを警戒し、財布や貴重品は後ろポケットに入れない。

ひったくり、強盗

 深夜、徒歩で通行中、二人組のバイクに乗ったものに、突然刃物で切り付けられ、現金を強奪された。

対策ポイント:深夜に一人で出歩かない。

見せ金詐欺

 親しげに「日本人ですか?今度日本に行きます。その前に日本円を見せてください」など英語と日本語を話しながら近づいてきて、会話中に財布の中から現金が抜き取られた。

対策ポイント:「日本円を見せてください」と言われたら、すぐにその場を立ち去る。

 

 これらの例以外にも日本人が被害にあった事例はたくさんありますが、その中には被害者側の安全意識や危機管理によって未然に防ぐことができたものも少なくありません。タイは1年中温暖で料理も美味しく、人気が高い観光立国ですが、滞在中は「日本ではなく外国にいるんだ」という意識をもって、常に安全意識を持ちながら行動することが大切です。

銃撃事件の影響

 冒頭でお伝えした発砲事件ですが、多くの外国人観光客が訪れる有名なデパートで起きこたこと、SNSによって現場の状況がリアルタイムで多く発信されたこと、犯人が14歳の少年だったことなどの要素が重なり、大変ショッキングなニュースとして報じられました。今後のバンコクの治安について懸念する声も聞かれますが、事件が発生して1週間が経ったバンコクでは、特に悪い影響を感じることはありません。

 事件が発生してから3日後の10月6日から8日の日程で、事件現場となったサイアムパラゴンで訪日旅行に興味があるタイ人向けのイベント「Visit Japan FIT Fair#15」が開催されました。事件の影響から来場者数の減少が心配される中で、会場入り口では手荷物検査が行われるなどセキュリティーチェックが厳格化され、安全を確保した上での開催となりました。

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会場入り口で行われたセキュリティーチェック

 

 来場者数についてはまだ発表されていませんので、昨年からの増減についてはまだ不明ですが、昼間に会場を訪れてみた感じでは、心配されていたほど影響を受けて減っているという印象はなく、相変わらずのタイ人の訪日旅行人気の高さを感じたほど、たくさんのタイ人の方が来場していました。

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FITフェア(旅行博)の会場には、多くのタイ人が訪れた

 

 登録制により銃を所有することができるタイは、銃の所有率は世界で13番目、東南アジアではトップとなるなど銃社会の一面を持っていますが、今回の事件を受け、タイのセター首相は「今後、銃器に関連する事件の防止を優先的に対応する」と銃規制に乗り出す姿勢を示しました。その背景には今回犠牲者となった中国人の観光客減少に歯止めを掛けたいという思惑も見え隠れしますが、銃による事件が後を絶たないタイ国内の状況を改善するためにはある程度の規制を求める声も国民から上がってきているので、今後、どのような方向へ進むのかが注目されています。

 大変痛ましい事件が起きてしまったタイですが、事件が治安に与える影響は今のところ特にみられません。しかし、タイを訪れる観光客や出張者自身の安全は、自らが努力しなければ手には入りません。そのためにまず必要なのは現地の最新情報です。今後、タイへ出張や旅行で来られる方で、現地の治安情勢について不安を感じられる方がいらっしゃいましたら、メールやオンラインの面談などで最新情報などをご説明させていただきますので、お気軽に当ビューローまでお問い合わせください。

県内企業の皆様への現地情報のご提供について

 タイ王国の最新の現地情報については、以下にお問合せください。

鳥取県東南アジアビューロー 担当:辻 三朗 (TSUJI SABURO)

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鳥取県商工労働部通商物流課 担当:田賀

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