防災・危機管理情報


令和4年度全建賞を受賞しました!

 

 鳥取県中部総合事務所県土整備局が行っている「由良川塩水遡上対策に係る表層取水装置の現地実証実験」の取り組みが、令和4年度の全建賞を受賞しました。

 (※全建賞とは→(一般社団法人)全日本建設技術協会 https://www.zenken.com/ 

1,由良川における浸水被害

 由良川は鳥取県倉吉市、北栄町を流下し日本海に注ぐ二級河川です。中流域は、複数の支川が合流し、海抜1m程度の低平地が広がり、主に水田として利用されています。河道幅が狭く、縦断勾配が緩やかなため、多くの浸水被害が発生しており、1987年台風19号による甚大な浸水被害を契機に、これまで河川改修を進めてきました。1

2,塩水遡上

 由良川中流域の低平地では、河川からの取水(揚水)によって水田営農がなされていますが、河川改修の進捗に伴い、潮位が高くなる夏季に塩水の遡上が顕著になり、河川から取水する農業用水に塩水が混ざる現象が生じています。

 塩水遡上の要因と考えられる海面上昇と河川改修の影響を適切に予測評価するため、塩水遡上数値解析モデルを構築し、河道条件(改修前、現況、計画)と潮位条件(過去、現況、将来)を各ケースで入れ換えて塩水遡上の程度を分析・評価し、河川改修による影響と海面上昇による影響が同程度であることを確認しました。

2

3,塩水遡上対策~表層取水装置~

 これまでの観測及び数値解析結果にて、将来的にも取水に利用可能な河川表層の淡水が存在することが明らかになっているため、河川表層からの取水方法として表層取水装置を作製しました。

 この装置は、揚水ポンプ施設の吞口部にホースを取り付けて、河川表層から淡水を効率よく取水するため、潮汐等による水位変化に追随するようフロートを浮かべ、淡水を装置中央に配置したパレットに越流させ、ポンプ揚力を用いて取水する構造です。3

4,事業の成果

 現地実証実験では、取水位置より深い位置に存在する塩水を取水することなく、表層の淡水を安定して取水できることを確認しました。また、装置は既存施設にも接続可能であるため、従来検討していた取水堰よりも大幅にコストを低減できることも確認できました。

4

              「表層取水装置」現地実証実験

5,おわりに

 塩水遡上対策として、多大なコストを要す取水堰の整備に代えて、低コストで環境負荷が小さく、治水上のリスクが少ない「表層取水装置」への転換を提案し、農業関係者の理解のもと、導入に向けた取り組みを進めています。

 今回、塩水遡上対策に係る表層取水装置の現地実証実験の取り組みが評価され、全建賞を受賞することができました。

5

                全建賞授賞式の様子

6

               立派な盾をいただきました!

  

Copyright(C) 2006~ 鳥取県(Tottori Prefectural Government) All Rights Reserved. 法人番号 7000020310000