2023年11月 タイ王国及び東南アジア諸国の動向

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タイ王国及び他の東南アジア諸国の経済・産業動向、社会動向報告書

~タイ人の健康を支える、タイ健康促進財団インタビュー~

 こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。 

近年、順調に経済成長を続けてきたタイですが、所得の向上と共にライフスタイルも変化してきており、特に新型コロナによってタイ人の健康に対する意識は大きく変わりました。また、高齢化が深刻化する中で高齢者が暮らしやすい社会を実現するために、高齢者介護の充実や効果的な社会保障サービスの整備が求められています。今回は高齢化社会を迎え、食事や生活面で健康志向が高まるタイにおいて、関係する様々な支援を行っているタイ健康促進財団(Thai Health Promotion Foundation)のチャンウィット氏のインタビューをお届けします。

タイ健康促進財団の事業内容、規模について教えてください。

 当財団は首相の管理下にある政府機関です。国民の健康促進のため、また健康に配慮した生活環境をタイ社会に整備するための支援に取り組んでいます。

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タイ健康促進財団チャンウィット氏

事業内容と財団の役割について教えてください。

 主な役割は、政府機関や民間機関と連携し、国民が健康的な生活を送り、タイ社会が健康に配慮した生活環境を築けるよう、食事や生活習慣などの分野で啓蒙活動を行っています。例えば、高齢化社会を迎えたタイで、当財団も高齢者の健康促進、高齢者用の施設や居住環境づくりの支援をしています。タイの高齢者向け設備やサービスの提供のため、高齢化社会の先進国である日本の知識を応用しながら活用しています。

事業運営にあたり大事にしている方針について教えください。

 基本方針は色々な機構や部署と協力しながら、タイ国民の「生まれてから亡くなるまで」の健康を支援することです。例えば、妊婦に自分自身の健康管理について啓蒙することは、母体と胎児に安全をもたらします。

タイ国民のため、現状、どのような健康支援策がありますか。

 タイが抱えている高齢化社会という問題に対して、国家高齢者委員会は高齢者がより良い生活がおくれるように様々な方針を打ち出しています。例えば、国民年金基金制度の整備です。従来の社会保険年金制度は労働者の25 %(約1千万人)ほどしかカバーしていません。また保険料率は政府と雇用者、被雇用者それぞれ3%に過ぎません。そのため、退職後の年金受給額はわずかしかないというのが現状です。タイは社会保険制度ができてから間もないため、現代の高齢者の大半が制度に加入していないという問題点もあります。国民年金基金は退職後に備えた貯蓄をカバーし、タイ国民の安定した未来を築く役割があります。

高齢者向けの商品、施設、介護サービスに関するタイの現状と今後の傾向について教えてください。

 すでに高齢化社会を迎えたタイでは、高齢者向け商品の市場規模は拡大しており、今後も重要な消費者層となるでしょう。タイで高齢者向け機器、商品やサービスの供給はまだ少ないため、大きなビジネスチャンスといえます。高齢者向け商品を購入するのは近い将来にシニア世代に差し掛かるグループ、つまり高齢者である両親や祖父母を持つ世代です。現代のタイ高齢者は高齢化社会に直面したばかりで、高齢者向け商品についての知識がなかったり、使用した経験もないため、高齢者向け商品の購入をなかなか考えないでしょう。高齢者向け製品を購入し、実際に使用するのは40代~50代のグループかと思われます。高齢者よりも彼らのほうが商品やサービスに関心をもっていますし、彼らは自分が高齢になった時の生活の質を向上させる方法について学んでいるので、購買意欲や購買力が高い世代といえるでしょう。

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高齢者の子供世代が高齢者向け製品に強い関心を持っている

今、タイの高齢者向け商品の市場で必要とされる商品やサービスは何でしょうか。

 高齢者向けの食品や、高齢者の生活に役立つ便利商品です。しかし、タイ人の好みやセンスに合わせたデザインや形状を研究する必要があるでしょう。また、タイでの市場拡大のためには、以下の二つの重要なポイントが挙げられます。

・現代のタイ高齢者は高齢者向け商品やサービスを実際に目にしたり体験したことがない。

・10~20年後に高齢者となる世代は高齢化社会をどう生きるか学びつつある。

 タイに輸入される製品はこの二つのグループの需要を満たす必要があります。また、日本人は機能がたくさん備わった機器を好むかもしれませんが、タイ人はマニュアルを読まなくても簡単に操作できる、使い易い製品を好む点が日本人と大きく異なっています。将来性としては、高齢者向け機器やサービスより先に、高齢者向けの洋服、靴、食品といった商品の需要拡大が見込まれます。

日本の製品や技術に関心はありますか。

 日本の高齢者向け食品や、高齢者向け製品の製造技術に関心があります。例えば尿失禁の問題をかかえる高齢者向けの吸水・速乾性をもつ下着や衣類などです。高齢者向けの下着の需要はあるはずですが、タイではまだあまり販売されていません。日本の歩行器などの最新技術はタイでも求められています。しかしながら高価なため、一般のタイ人にとって全てを購入することは困難です。タイで市場拡大を目指すには価格を抑えなければなりません。また、高齢者となった自分の親のために40代~50代前後の人々が購入するケースが多いので、その世代に魅力的な商品であることが重要です。

日本の政府或いは私立の機関と協働したことはありますか。

 直接ではありませんが、JICAの高齢者向けプロジェクトなどは当財団とタイ政府の関係機関が共同で協力体制をとっています。他にも日本側の期間がタイのさまざまな省庁と協力して、タイ国内で高齢者向けプロジェクトを進めています。例えば、保険省は高齢者の健康面で、労働省は高齢者の雇用確保の面で、社会開発・人間安全保障省は高齢者の福祉面で日本側と協力しながら支援をしています。

タイ企業と日本企業のビジネスマッチング、交流会、展示会などの参加に興味はありますか。

 関心はあります。タイと日本両国の健康で幸福な生活や、今後の方向性や傾向について話す機会があればいいですね。オンラインのビジネスマッチングなどにも興味があります。何かタイで市場開拓をできるような製品がないかと常に考えています。タイの経営者も新しい製品を望んでいます。例えば介護用のポータブルトイレなどは需要があると思います。

最後にタイ進出に関心がある鳥取県の企業及びタイの日本企業にPRをお願い致します。

 製品やサービスの種類に関わりなく、タイ進出を検討している日本の投資家や経営者を歓迎します。とりわけ高齢者市場は拡大しています。日本製品は価格がどうしても高くなるので、タイで高齢者市場を開拓していくには、タイ市場の特性について学んだり、日本企業が製品を比較的安価で輸出するための何らかの支援が必要かもしれません。タイの高齢者市場規模は今後も拡大を続け、消費者の購買力も次第に大きななるでしょう。加えて、タイには製造拠点として投資するだけの将来性もあります。現在、タイ政府も税務恩典などで、食品や健康関連の製品を製造している海外企業の投資奨励をおこなっており、原価低減の後押しをしています。タイで一緒に高齢者のためのイノベーション、製品開発を行いましょう。

   

【タイ健康促進財団概要】

名称:Thai Health Promotion Foundation
住所:99/8 Soi NgamdupleeThungmahamek, Sathorn, Bangkok, Thailand 10120
Tel : (+66)2-343-1500
Email:
InterRelations@thaihealth.or.th
URL (
タイ語・英語) :https://en.thaihealth.or.th/

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県内企業の皆様への現地情報のご提供について

 タイ王国の最新の現地情報については、以下にお問合せください。

鳥取県東南アジアビューロー 担当:辻 三朗 (TSUJI SABURO)

TEL/FAX:+66-(0)2-260-1057+66-2-260-1057
E-mail:tottori@aapth.com

鳥取県商工労働部通商物流課 担当:田賀

TEL:0857-26-7661
FAX:0857-26-8117
E-mail:tsushou-butsuryu@pref.tottori.lg.jp

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 タイを中心に、ベトナム・インドネシア・インド・メキシコにて主に日系中堅・中小企業様の海外進出や進出後の会計税務法務を中心とした運営支援業務を行っております。

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