昭和55年(1980)11月23日、鳥取市用瀬町宮原で採集
歌詞
(蝶よ花よと育てた娘)
今日は日も良し 天気も良いし
結び合わせて縁となる(伝承者:明治30年生)
解説
祝言の嫁入り道中の歌である。第二次世界大戦前まで、よく見られた風景だった。
歌い手を頼み、歌いつつ花嫁が花婿の家まで着くと、婿の家でも歌で迎えたものと聞く。これらの歌は長持ち歌とか、宿入り、ナゴヤなどと称していた。関連する詞章を挙げておく。
めでためたや 三つ四つ五つ
五つ重ねて五葉の松
蝶よ花よと育てた娘
今日は他人の手に渡す
ここのお家はめでたいお家
親は大黒その子が恵比寿
ござる嫁御さんは福の神
ここは来たけど気が知れぬ
どうかよろしく願います
おまやぁ百までわしゃ九十九まで
共に白髪の生えるまで
婚礼の風俗も時代とともに変化する。近年はこのような嫁入り行列など見かけることは皆無になった。
現代では、会場で親類縁者や親しい友人を招いて結婚式を挙げ、新郎新婦は、そのまま新婚旅行に出発するようになったようである。