昭和56年(1981)10月10日、湯梨浜町宇野で採集
歌詞
相撲は今日ぎり
相撲取りは帰る
後に残るは土俵ばかり
(伝承者:明治34年生)
解説
座敷歌としてうたわれているようだ。「相撲は今日ぎり」が8音節と、「相撲取りは帰る」は9音節になるが、「後に残るは」が7音節、「土俵ばかり」が6音節になる。実際に歌う場合「どひょばかり」とされ、「ひょ」は拗音で1音節になるので、通してみれば、9・8・7・5となるので、近世民謡調である7・7・7・5スタイルの字余りと考えられる。
詞章を読み解けば、大相撲の地方巡業場所ででもあろうか、何日か続いた巡業も、いよいよ最終日を迎えて、取り組みが終了すれば、出場のため当地に滞在していた相撲取りの皆さんも、去って行き、後に残るのは取り組みに使われた土俵だけという、それとなくわびしさを訴えた歌というのででもあろうか。
筆者はこのような相撲甚句は、これまであちこちで収録しているが、具体的に地方巡業のことについては、残念ながら詳しくうかがったことがないので、的確な説明については自信がない。もっとしっかり聞いておけばよかったと、今になって思ってみても手遅れである。