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昭和54年(1979)9月22日、智頭町波多で採集

 

歌詞

 一つとせ 人目しのんで頬被り

 時広トキワは浦里へ  雪の降るのも厭やせぬ

二つとせ 降る日も照る日も厭わせぬ

 主水(もんど)さんは 白糸さんに通われる 女房のお安が意見する

三つとせ  店の手代の久松が

  油屋のお仙さんと心中する 千兵衛さんにも義理たたず

四つとせ  吉原先生は小紫

 因州侍権八と  互いの言葉を交わしした

六つとせ  娘引き連れとなしさに

  力也と祝言させたさに  ホンゾウ力也の手にかかる

七つとせ  浪速に隠れし十郎兵衛が

  わが子のお鶴を手にかける  聞くとお弓が意見する

八つとせ  八百屋娘にお七とて

  吉三に会いたいばっかりに  またもわが家に火をつける

九つとせ  心蛇にと清姫が

  安珍こがれて日高川  大蛇の姿と現れた

十とせ    時姫さんこそ一筋に

  三浦に添いたいばっかりに 北條時政討ってみしょ

(伝承者:明治40年生)

解説

 この盆踊り歌の内容は、よく知られている歴史上の出来事などを、数え歌形式にして仕上げたものである。盆踊りには適しているといえるのだろう。

 現代人である筆者には、ここに登場している人々の名前や出来事については、ほとんど判らない。せいぜい「八つとせ」で描かれている八百屋お七と吉三」の恋物語で、江戸の町を放火で焼き、火あぶりの刑になったお七の話や「九つとせ」で出てくる清姫が大蛇となって日高川へ飛び込み、安珍を追う、安珍清姫の物語くらいのもので、それ以外の物語については、昔の人々には馴染みであったろうが、筆者はさっぱりである。


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