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平成8年(1996)、湯梨浜町上浅津で採集

 

歌詞

 こちの屋敷はめでたい屋敷

   めでたい屋敷  鶴と亀とが舞い遊ぶ オモシロヤ

 アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ

 

 うちのお背戸にゃ茗荷と蕗と

   茗荷と蕗と 茗荷めでたや蕗繁盛  オモシロヤ

 アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ

 

 うちの後ろにゃつがいの龍が

 つがいの龍が(後詞章不詳)オモシロヤ

 アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ

 

 うちのお庭の三階松に 三階松に

  鶴が舞い立てる  オモシロヤ

  アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ

 

 

  あなた百までわしゃ九十九まで

 わしゃ九十九まで

 共に白髪の生えるまで

 アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ

 

 めでためでたの若松様よ  若松様よ

 枝も栄える葉も茂る オモシロヤ

 アア ヨイサ ヨイサ ヨイサ ヨイサ(伝承者:明治39年生)

解説

 地搗き歌は、地締め歌の別名であろうか。7・7・7・5の基本形を待つ近世民謡調である。ただ「茗荷と蕗と」と、「返し」と称する7音の繰り返しが挿入されているのは、地搗き作業のリズムを整える上で必要なのであろう。また「オモシロヤ」とか「オーイ ヨイサ ヨイサ」と囃しが見られるのも同じ理由からであろうと考えられる。

 縁起のよい詞章が並んでいる。なにしろ地面を突き固め、その土地の上に屋敷を新築しようというのであるから、建築主に対して出来る限り縁起のよい褒め言葉を並べる必要があったものと思われる。これらの詞章を眺めていると、まるううで婚礼のさい、花嫁行列で流される長持ち歌にそっくりな内容がそろっているように思われるのである。

  地搗き作業と新築の祝い歌、婚礼のさいの長持ち歌など、いずれも生活の根幹をなす大切な行事であって、そこでうたわれる歌も類似の詞章になるのは、必然なことだと思われるのである。


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