昭和61年(1986)8月2日、琴浦町高岡で採集
歌詞
こちのお家は目出度いお家
上から鶴が舞い降りる
下から亀が舞い上がる
鶴と亀との盃で
中から千鳥が酌をとる
これほど目出度いことはない(伝承者:明治36年生)
解説
家の建て前の際の祝いの席などで歌われるものである。鶴とか亀とか縁起のよい動物が登場していることを見ても、祝いの席にふさわしい歌であろう。残念なことには、ここでは詞章だけを述べておられ、メロディになっていないのが惜しまれるが、このような詞章が歌われていたという証明だけは可能であろう。
7・7・7・5の近世民謡調の詞章が三つ続き、一つのまとまりになっている。伝承者は歌われる詞章だけを述べられたので。筆者は三つに分けて記しておいたが、実際は一つのものとして歌われるのかも知れない。
収録日は昭和61年8月2日と記しておいた。このことは間違っているわけではないが、最初にお宅を訪問したのは、もっと前になる。筆者の記録によると、それは昭和37年3月5日となっているから、さらに24年も前ということになる。つまり、筆者がまだ26歳のときであった。今年は令和6年なのでそこから計算すれば、62年も前ということになる。このときはお宅の男性(明治25年生)から、まじないの天然痘という病気(疱瘡ともいう)の唱え詞、「送った送った疱瘡の神送った」や、七草のおりにうたう歳事歌、「日本の土地に唐土の鳥が渡らぬ先に七草そろえてヤホヤホヤホ」などをうかがったり、家族(大正5年生)からも、わらべ歌の羽根つき歌や歳事歌である亥の子歌をうかがったりしていたのであった。