昭和61年(1986)8月2日、琴浦町高岡で採集
歌詞
めでためでたが 三つ四つ五つ
五つ重なりゃ 五葉の松 オメデタヤ
(伝承者:明治36年生)
解説
婚礼の歌である「宿入り」の転用歌であるという。地締め歌は、家を新しく建てる前に、その土地を固めるために作業をする際、歌われるものであることは、ご承知のことだろうが、近年では建築様式も変わり、歌われる機会もなくなってしまったようである。
「婚礼の歌」の転用ということで、島根県石見地方で聞いた「宿入り」を紹介しておこう。歌い手は浜田市三隅町森溝の方(明治22年生)である。鳥取でも共通している詞章は多い。
わたしゃ行きます 後頼みます
長のお世話になりました
今がお発ちかお名残惜しや
笠の締め緒にゃわしがなる
三条小橋で出会うた言うたが
どこが三条の小橋やら
あれに見えるが殿御の屋形
早く行きたや顔見たい
なんぼ坂でも登れば下る
花の都も近くなる
これの御門は桐の戸の御門
どこの番匠が建てたやら
門に入りて家眺むれば
さても見事なお家さま
これのお座敷はめでたい座敷
鶴と亀とが舞い遊ぶ
まだまだあるが省略する。