昭和39年(1964)8月8日、日南町菅沢で採集
歌詞
歌いなされよ お歌いなされ
歌でご器量が下がりゃせぬ
(伝承者:明治39年生)
解説
田植え仕事は厳しいもので、早乙女たちは歌いながら作業したものである。その中の一つがこれであるが、それなりに人生訓を秘めているようである。鳥取県の中西部では、田植え歌の歌い出しが「大山…」と始まるものが多いようである。『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)から倉吉市関金町大鳥居の方(大正13年生、大正5年生、明治42年生)から収録したものを紹介しておく(130ページ)
大山山の桜は 花は八色に咲きわけ
痛や痛や痛腰や 痛や痛や痛腰や
植田の中に立つのは
田の草取りか 鳥追いか
大山山で光るは 月か星か螢か
晩になると血盗りが 笠のまわりをまわるよ
大待ち大窪植えたら
しまわせますよ早乙女衆
(参考)
大山坊主が検見した
子どもだまされ銭やる
大山坊主の大へのこ 一尺八寸銅返し
大山坊主がぼんぼした
子どもだまされ銭をやる
(注)「検見」は毛見とも書き、作柄を検査すること。「血盗り」とはブヨの意。
この他に短章型の田植え歌「今年豊年穂に穂が咲いて道の小草に米がなる」なども記されている。