昭和39年(1964)8月7日、江府町江尾で採集
歌詞
アー めでためでたのヨー 若松様よ
枝もナーア 栄えて葉も茂るナーエー
アー 蝶や花よとヨー 育てた娘
今はナーア 他人さんの手に渡す
ナーエー
(伝承者:年齢不詳)
解説
婚礼の際に歌われる道中歌である。他の詞章もいろいろあるが、『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会)から西部地区について、囃し詞を除いていくつか拾って見よう。漢字は適宜修正した。境港市朝日町の方(明治44年生)と花町の方(明治44年生)から収録したもの。
かのたかのたよ 思うことかのた
西や東に 倉七つ
今日は日も良し 天気もよいし
結び合わせて 縁となる
わたしゃ行きます どなたもさらば
今度来るときゃ 孫連れて
(ショコホイ ショコホイ 嫁さん長持 空でも重たい)
ここは大坂 一人じゃ越せぬ
待ちて殿御に 手を引かれ
梅に鶯 竹には雀
松には殿御よ 鶴の首
筆者が聞いたところでは、この道中歌を歌うのに、声自慢の人を雇いあげて道中を行き、婿の家でも同様に歌い手を雇って歌ってもらったものだとのことだった。しかし、時代の進展につれて、このような貴重な風俗もいつしか姿を消してしまったようである。