平成7年(1995)3月11日、米子市今在家で採集
歌詞
ここの親方 前から繁盛
アラ ヨイセー ヨイセー
今は若世で なお繁盛 オメデトヨヤー
アラ ヨショ ヨイショ
(伝承者:大正7年生)
解説
家を建てる際、まずは地面を叩き締める時に歌われる歌である。7・7・7・5の近世民謡調であるが、それに囃し詞がついている。内容は、その事業を行う主を讃えて、縁起のよい詞章でできている。
『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1998年)から県西部地区の地締め歌をいくつか紹介しておきたい。いずれも縁起のよい詞章である。まず、同じ米子市祇園町の方(明治41年生)から収録されたもの。囃し詞を省き、基本形だけを記す。
めでためでたが 三つ四つ五つ
五つ重なりゃ 五葉の松
鶴が舞います 当家の空で
当家繁盛と 舞い降りる
調子揃えて どんどとやれば
如何な大名も 立ち止まる
次は米子市淀江町淀江の方(明治37年生)の歌。
搗けどはたけど この米おえぬ
どこのお倉の 下積みか
通りゃ寄りたし 寄りゃ上がりたし
上がりゃその夜は 泊まりたし
さしてお帰り この唐傘を
もどすふりしてまた参る
庶民の心情を見事に穿った歌が揃っているのである。