平成元年(1989)8月19日、日南町多里で採集
歌詞
腰の痛いのにこの田の長さ
四月五月の日の長さ
ヤレ 日の長さ 四月五月の日の長さ
歌いなされよお歌いなされ
歌でご器量が下がりゃせぬ
ヤレ 下がりゃせぬ
(伝承者:明治45年生)
解説
田植え歌の中でもオーソドックスな詞章である。初めの歌には、労働の厳しさが込められている。二番目は初めの歌とは一転して、歌を歌うことで労働に厳しさを忘れ、歌い手の歌の見事さを認め、賞賛することで、さらに歌を続けることを要請しているのである。なお、初めの詞章はサゲが歌い、「ヤレ」から後は早乙女がつけて歌う。
続いて『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)から、西部地区の田植え歌を紹介しておく。歌い手は南部町落合の方(明治42年生)である。返しの部分が不揃いであるが歌われたとおりに記しておいた。
入れてください痒くてならぬ
私一人が蚊帳の外
ヤレ 蚊帳の外 私一人が蚊帳の外
ここは山中淋しゅてならぬ
ひとつ聞かしょとホトトギス
ヤレ ホトトギス
ひとつ聞かしょとホトトギス
ヤレ ホトトギス
ひとつ聞かしょとホトトギス
今年ゃ豊年穂に穂が咲いて
道の小草も米がなる
ヤレ米がなる 道の小草に米がなる
ヤレ米がなる 道の小草に米がなる