平成7年(1995)4月4日、米子市今在家で採集
歌詞
去年の今ごろ田植えもしたが
今年ゃみ墓で灯が点る
灯が点る 今年ゃみ墓で灯が点る
(伝承者:大正13年生)
解説
盆踊りの折に歌われるのに相応しい内容の詞章であるが、このような田植え歌もあったのである。豊饒を願う田植えにしてみれば、やや異例な詞章のように思われる。
以前、どこかで聞いた盆踊り歌に、
去年、楽しく踊ったさまも
今年ゃみ墓で灯をとぼす
確か、このような詞章であったと思う。盆踊り歌としては相応しいであろう。今回の歌をうたわれた伝承者に確認したいが、今となってはそれもできそうもないのである。
『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)に掲載された、西部地区での田植え歌のいくつかを紹介しておこう。
日野郡日南町菅沢の笹木の3名(大正3年生、大正4年生、大正7年生)から収録された歌。最初の歌だけ囃し詞などを入れるが、後は基本形だけ紹介する。
今年豊年角田の稲穂(ハイコラコラ)
からが一丈に穂が五尺 (ヤーレ穂が五尺)
ここは山中 寂しゅうてならぬ
ひとつ歌えや ほととぎす
いつも五月の節ならよいに
好きなお方に手苗する
蕗の九葉に苺を載せて
泣く子あやして また田植え
花は二度咲く 若さは一度
若さ恋しや二度はない