平成7年(1995)7月28日、米子市吉谷で採集
歌詞
腰の痛さよこの田の長さ
四月五月の日の長さ ヤレ 日の長さ
四月五月の日の長さ
(伝承者:昭和11年生)
解説
田植え歌には短いものとやや長いものがある。ここに挙げたのは7・7・7・5・5調、つまり近世民謡調のものである。伝承者は次の田植え歌を詞章だけ教えてくださった。「来るか来るかと川下見れば 河原ヨモギの蔭ばかり」
この近世民謡調の詞章は「地締め歌」とか「臼挽き歌」など、他の作業歌にも転用できるものであり、自在に活用されている。今回の筆者の収録の中にはないが、長いものとして決められた順にうたわれたものも存在していた。『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)の中から日野郡日南町多里の方(昭和12年生)他から収録された、朝に歌われるもの(途中まで)を紹介しておこう。
朝声はヤンワサならせやならせ
声ならせヤンワサ声ならせ ヤンハレー
声ならせヤアハレー
ならさぬ声は寝声なり
伊邪那美のヤンワサついたる矛の
露うけてヤンワサ露うけて ヤンハレー
露うけてヤアハレー
三千世界が島となる
この世ではヤンワサ島なるうう始めは
どの島かヤンワサどの島か ヤンハレー
どの島かヤアハレー 淡路の島が島始め
この世ではヤンワサ国なる始めは
どの国かヤンワサどの国か ヤアハレー
どの島かヤアハレー
大和の国が国始め
この世ではヤンワサ宮なる始めは
どの宮かヤンワサどの宮か(以下省略)