平成7年(1995)11月17日、米子市大崎で採集
歌詞
うちの屋形は前から繁盛
今は若世でなお繁盛 オモシロヤ
エンヤー エンヤー
あなた百までわしゃ九十九まで
共に白髪の生えるまで オモシロヤ
エンヤー エンヤー
(伝承者:大正14年生)
解説
新築を祝う歌としてうかがったが、座敷歌として考えれば、新築祝いの席上で披露されるものであろう。7・7・7・5の近世民謡調であるが、詞章は縁起のよいものを選んで披露されるのである。大漁歌とか婚礼の席でも歌われると、伝承者は話しておられた。
『鳥取県の民謡』(鳥取県教育委員会1988年)の県西部地方から、新築祝い歌がないか調べてみたが、残念ながら見つからなかった。
筆者の調べたところでは、地締め歌とか地搗き歌、時としては田植え歌や苗取り歌、稲こき歌などとの詞章の互換性が認められるので、少し紹介しておく。囃し詞は省略し、基本形だけ示すことにしたい。まず田植え歌から。米子市蚊屋の方(明治31年生)の歌。
わたしゃ春雨 上淀川の
水の流れも とめてみしょ
来いと言うたとて 行かりょか佐渡へ
佐渡は四十九里 波の上
次は西伯郡大山町佐摩の方(大正6年生)のかつま(田植え歌)から。
そろたそろたよ 早乙女さんがそろた
稲の出穂より なおそろた
植えたこの苗 万両なれや
なれや黄金の 花となる
一夜泊まりの 早乙女さんに迷うて
ついちゃ行かれず 泣き別れ