昭和56年(1981)8月25日、鳥取市福部町左近で採集

歌詞

一つとせ　人も通らぬ山中を

　おさよとさんと源兵衛さんが手を引いて

　アラ　おさよさんと源兵衛さんが手を引いて

二つとせ　二股大根は離れても

　おさよさんと源兵衛さんは離りゃあせぬ

　アラ　おさよさんと源兵衛さんは離りゃあせぬ

三つとせ  見れば見るほど良い男

   おさよさんが惚れたも無理はない

   アラ　おさよさんが惚れたも無理はない

四つとせ  用のないお門を二度三度

　おさよさん逢いたいさ顔見たさ

　アラ　おさよさん逢いたいさ顔見たさ

五つとせ　いつも流行らぬ簪を

　おさよさんに挿させて姿見る

　アラ　おさよさんに挿させて姿見る

六つとせ   無理に締めたる夫婦帯

　ゆるめてください源兵衛さん

　アラ　ゆるめてください源兵衛さん

七つとせ  何を言うにも語るにも

   おさよさんの産月産み月だ

　アラ　おさよさんの産月産み月だ

八つとせ  痩せた屋敷にゃ家を建て

  おさよさんと源兵衛さんが所帯持つ

九つとせ  ここで死んだらどこで会う

   極楽浄土の道で会う

　アラ　極楽浄土の道で会う

十とせ   とんとんばたけはだれがんだ

   源兵衛さんならあけましょか

　アラ　源兵衛さんならあけましょか（伝承者：明治37年生）

解説

　盆踊り歌として、数え歌形式で歌われていたものである。この歌は、面白いことに子どもたちの手まり歌として、同地域の方からうかがっているので、大人の歌う盆踊り歌と子どもの手まり歌との両方で歌われていたことが分かる。

　つまり、お互いに交流しているわけであるが、歌の詞章を眺めると、なかなかませた男女の恋愛模様が歌われているわけで、そのようなところから考えて、両者で歌われるのも無理からぬところと言えそうである。