~日系企業との取引に関心のあるタイ企業インタビュー~
こんにちは。鳥取県東南アジアビューローの辻です。
タイの製造業はGDPの約3割を占めており、基幹産業の一つとされています。その製造業を支えているのは、部品や金型などを下請する多くの中小企業です。主に自動車や電子機器に関する製品を製造しているところが多いですが、ここ数年、産業構造の変化と共に、中小企業も変化を求められる時代となってきました。今回は自動車部品メーカーとして創業し、医療機器製造や機械製造と新事業への参入をしてきたC.C. AUTO PARTS株式会社の創業者であるブンラート会長のインタビューをお届けします。
御社の沿革について教えてください。
1990年にC.C. Auto Part Co., Ltd.を設立しました。当初は、自動車用スタンピング製品の製造から始めましたが、1997年のアジア通貨危機の影響で自動車部品の需要が減少したため、医療機器産業に事業を拡大しました。弊社は高度の品質管理体制を持つ日本の自動車産業からノウハウを取り入れ、日本から仕事や技術を教わる機会もありましたので、当事業展開は成功裏に進みました。その後、機械製造業にも事業を拡大しました。
C.C. Auto Part Co., Ltd.ブンラート会長
御社の強みを教えてください。
弊社は33年にわたり着実な成長を遂げ、従業員を育成し、日本からの技術を取り入れてまいりました。Drawing(図面)に基づいた作業プロセスを理解し、約束期限内に製品を納品することができます。また、金型を自社生産できるため、生産コスト低減に繋がります。
医療機器関連のビジネスについて教えてください。
弊社は歯科関連機器の製造を得意としています。まず初めに、デンタルユニット機器のメンテナンスサービス提供を開始しました。多くの機器を修理することにより、専門スキルを取得し、いろいろなメーカーのデンタルユニットの構造を知ることができました。各モデルのメリットとデメリットから学び、自社製品開発の際には他のモデルの良い点を取り入れることにより、高品質で他社製品の弱点を克服した製品を市場に提供できるようになりました。 ただし、顧客は医療機関のため販売数は多くありません。
弊社は、タイ企業で初めて医療機器の品質管理マネジメントシステム規格ISO13485の認証を受けています。現在、歯科医療機器のほぼ全ての製造が可能です。加えて、患者用ベッド、歩行補助器、車椅子の受注製造も行っています。現在、イギリスからオーダーを受けて、たくさんの車椅子を製造しています。
同社製の歯科関連機器
同社製の車椅子、医療用ベッド等
機械製造のビジネスについて教えてください。
歯科関連機器の製造から、機械製造業にも事業を拡大しました。当初、自動車部品製造用の機械購入のために高額の初期投資が必要で、その後、顧客からの受注量が増加すると、生産能力向上のため機械を追加購入しなければなりませんでした。そういったことから、コスト低減のため、使用する機械を自社で生産するようになりました。
はじめに製造したのはバンドソー(帯のこぎり)です。当初は社内使用を目的として製造したので、機械のデザインよりも性能に重点を置いていました。その後、改良を重ね、機械の性能に自信を持てた時点で、タイ国内の機械製造の開発を手掛ける機関や組織の協力を仰ぎ、あらゆる面で品質の高い機械開発ができるようにタイ人と日本人の専門家からアドバイスを取り入れ、バンドソーの製品化を実現しました。弊社は自社ブランドのバンドソーを製造する初めてのタイ企業となりました。
弊社が製造した機械は、輸入した機械に比べて低コストで導入いただけるため、OEM生産を行っている顧客に大変喜ばれました。また、海外から機械の輸入を必要としないという点に加えて、タイの経済的自立を支える事業とも位置づけられます。それはタイの「新Sカーブ産業政策」※1の目標でもあります。
※1タイ政府が掲げる産業高度化に向けた長期国家ビジョン「タイランド4.0」で、ターゲット産業とされている新たな育成対象の産業のこと。対象業種は下記。
(1)ロボット産業(Robotics Industry)
(2)航空及び物流業(Aviation and Logistics Industry)
(3)バイオ燃料及びバイオケミカル産業(Biofuel and Biochemical Industry)
(4)デジタル産業(Digital Industry)
(5)医療ヘルスケア産業(Comprehensive Healthcare Industry)
日本企業とのパートナーシップや協業について教えてください。
日本の企業は優れた顧客であり、持続的な協力関係を築けると考えています。中国や西洋の顧客は我々が顧客の期待する価格や要望に応えられない場合、他の製造業者を見つけようとしますが、日本の顧客は何か問題が発生すれば、直接話し合い、相互にアドバイスをし合い、共に解決策を見つけようとしてくれます。知識や技術の共有も行うことができます。
また、日本のパートナー企業との協力という点ですが、私たちは島根県出雲市の(株)研電社とパートナーとなり、「C.C. Kendensha」という合弁会社を設立して協力しています。大手ではありませんが、非常に革新的であり、高い品質管理が行われています。弊社とパートナー企業が製造する製品の品質管理はパートナー企業が行い、協力しながら最高品質の製品を製造しています。
今後のビジネス展望について教えてください。
現在、研電社に加えてタイ国内で革新的な製品製造ができる日本のパートナーを探しています。私たちはすでに工場と機械があり製品の製造が可能ですが、自社だけで革新的な製品を開発するにはコストと時間がかかります。
一方、日本は革新的な国でありながら、製造において労働力不足や新しい工場の建設コストが高いという課題を抱えています。たとえば、日本企業がタイ国内で製造工場を設立するならば、土地の取得や工場建設、機械の購入に数年かかり、収益を上げるまでさらに数年かかるでしょう。一方で、日本の革新的な企業が強い製造基盤を持つ弊社と提携すれば、新しい工場を設立する必要はなく、製造プロセスを開始して1年ほどで売り上げを得ることも可能です。また、工場建設のために土地を購入する必要もないのでコストも抑えられますので、双方にとって利益をもたらしてくれると思います。
弊社は、事業内容に応じて、代理店、製造委託、共同出資などの形態で日本のビジネスパートナーを歓迎いたします。
求めている日本の製品と技術は何でしょうか?
先日、日本に行った際に農家の方々の生活を見る機会がありました。家の前の約100平方メートルほどの農地で、小型農機を使用している様子を見て、タイではまだこのようなニーズに応える小型農機が存在していないことに気づきました。小型農機があればタイの農家も小さな農地で小規模農業を行うことができると考えています。
さらに、電動バイクのモーターやバッテリーなどの技術を持つパートナーも探しています。この産業に関するパートナーは主に韓国企業の中から探していますが、もし日本にこの技術をもつ企業があれば、いつでも一緒にビジネスを始めたいと思っています。
最後に、日系企業へのメッセージをお願いします。
弊社は製造基盤と質の高い専門知識を持つスタッフを備えています。自社で金型製造もできます。タイ国内でのビジネスに関心がある、革新的な日本のパートナーを探しています。
弊社はタイでの生産基盤をサポートできますので、日本のパートナー企業は生産拠点を設立するためのコストを削減し、迅速なコスト回収が可能となります。以前に、日本企業と協力して生産拠点設立をし、わずか1年で生産ラインを始動した経験もあります。また、小型農機に関するビジネス提携についても、強い意欲がありますので、商談を希望される方は是非ご連絡ください。
【企業概要】
企業名:C.C.AUTO PART CO., LTD.
事業内容: 自動車部品・歯科関連機器・機械の製造販売
住所:29 Moo8 Saladaeng11 Street, T.Saladaeng A.Bangnampeow Chachoengsao 24000, Thailand
Tel : (+66)33-172-834
Email: admin@ccautopart.co.th
URL : http://www.ccautopart.co.th/
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鳥取県東南アジアビューローの運営法人(鳥取県が業務委託)
アジア・アライアンス・パートナー・ジャパン株式会社
タイを中心に、ベトナム・インドネシア・インド・メキシコにて主に日系中堅・中小企業様の海外進出や進出後の会計税務法務を中心とした運営支援業務を行っております。
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