政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会によると、南海トラフ沿いの地域におけるマグニチュード8~9クラス地震の今後30年以内の発生確率は70%~80%(2021年1月1日現在)と推計され、想定される被害が死者数約33万人、全壊棟数約250万棟に及ぶことが言われており、これまでの記録に残る地震災害とは次元の異なる巨大地震の発生が高まっていると言われています。
近年、南海トラフ地震の原因となるフィリピン海プレートのひずみが徐々に拡大し、九州・四国地方で発生している地震が、東海・東南海・南海の連動型地震の前兆と言われ、未曾有の巨大地震の危険性が確実に近づいてきていると考えられます。
地震はいつ、どこで発生するのか分からないため、救助・救急活動、避難者への対応、経済・社会への影響について、人的・物的両面にわたって被害の絶対量を減らすという観点から、事前防災の取組となる建築物の耐震化が極めて重要になります。
鳥取県では、昭和56年5月以前の耐震基準で建築された建築物に耐震化を計画的に進めるため、「鳥取県耐震改修促進計画」を策定しています。
令和3年12月に耐震改修促進法の基本方針が見直されたことを受け、鳥取県耐震改修促進計画の計画期間、住宅・建築物の耐震化率目標、耐震化促進に係る施策等の見直しを行いました。
早期に耐震化をおおむね完了することを原則とし、令和2年度時点の進捗状況に鑑みて、当初計画に引き続き「想定される地震被害を現在より半減」させるよう、令和7年度末の耐震化率の目標を設定します。また、国の基本方針と同様に、令和12年度おおむね解消を目指します。
<住宅の目標>
○「鳥取県震災対策アクションプラン」では、鹿野・吉岡断層、倉吉南方の推定断層及び鳥取県西部地震断層による想定地震の揺れの被害が想定されています。各断層想定地震で想定されている住宅の全壊棟数の合計12,680棟を半減させることを目標として住宅耐震化率を設定します
<耐震診断義務付け対象建築物の目標>
○平成28年に改定した計画では、建築物の耐震化率目標に特定既存不適格建築物の耐震化としていましたが、国の耐震化率目標と同様に「特に耐震化の重要性の高い耐震診断義務付け対象建築物に重点化」して、耐震診断を義務付ける建築物(耐震診断義務付け対象建築物)について耐震化率の目標を設定します。
○鳥取県内の耐震診断義務付け対象建築物は27施設あります。令和2年度末時点では、耐震性があるもの、解体されたものは19施設あり、残りの8施設のうち令和7年度末までに4施設の耐震化を目標とします。
(1)基本方針と役割分担
地震による建築物の被害を最小限に抑えるためには、所有者等が「自らの安全は自らが守る」と問題意識を持つことで耐震化に取組み(自助)、「わがまちは、わが手で守る」という地域で助け合う取組み(共助)に対して、地震対策、耐震化の費用負担軽減・技術支援、施設整備などの施策に取り組む(公助)ということが重要です。
(2)役割分担
県、市町村、県民及び建築関係団体は、役割を分担して効率的に取り組むことで、建築物の耐震化を促進します。