- 鳥取県では、中長期的な県政の進むべき方向について、財政的前提や克服すべき課題なども付記した「持続可能な近未来ビジョン」である「将来ビジョン」を県民の皆様とともに策定することとしています。
- この策定に当たり、鳥取県の将来について平井知事と県民が語り、意見を交換する「鳥取県の将来を共に考えるタウンミーティング」を鳥取県東部地区で開催しましたのでその概要を報告します。
■開催日時
平成19年10月20日(土) 午前9時30分~12時
■開催場所
鳥取市福祉文化会館 会議室(3階)
■参加者数
41名
■県側の出席者
知事、企画部長、総務部長、東部総合事務所長
八頭総合事務所長、他関係部局長 等
1 知事あいさつ
- 車座的に夢や将来を語りながら、将来ビジョンを作成する予定。頂いた意見の最大公約数的なことを冊子にまとめていきたい。
2 意見交換
《主なご意見》
- 森林環境保全税がどのように使われているのか?PRがなされていないのではないか?
⇒(農林水産部長) 森林環境保全税は年1億円。森林所有者が管理できない森林を県が直営で間伐することなどに使っている。また、森林体験等を行う。広報は努力しているが県民に認知されていないことは反省。
- 震災対策で、冬、用水路に水がない。農業用水の管理を市民と農業者が共同で行い、冬も水が流れるようにしてはどうか。
⇒(農林水産部長)農業用水のあり方については県下で意見を頂いている。水利権は灌がい期と非灌がい期で調整が必要。冬場の流量確保は農地が湿気るため、農業者の理解が得られない。
- 千代川の水位が低下している。袋川の水量は顕著。河合谷高原のブナ林伐採が原因ではないか。土砂崩落で袋川がにごる。災害もあった。豊かな鳥取、水を守るためには豊かな森を守ることが大切。できれば河合谷高原もブナ林に戻してはどうか。
⇒(農林水産部長)点検を密にして災害を防いでいきたい。ただ河合谷放牧場は、乳牛の放牧が、酪農家の経営基盤となっていることも理解願う。
⇒(知事)元気なお年寄りの活用について、高齢者の8割は元気な方。そのパワーを活用していくことをビジョンに盛り込みたい。
- 団塊の世代と地域が連携し、地域に活力をもたらすことが必要。
⇒(知事)団塊のマンパワーが協働してまちづくりを行うことは重要な観点。
⇒(福祉保健部長)小規模作業所等での活用も検討。
- 他県に比べ立ち遅れている鳥取県のままで結構。高速道路や飛行機等の利便性は、鳥取に無くてもよいのではないか。湯治的な滞在型地域を目指してはどうか。
- 鳥取に何があるか知られていない。行政がマネージメントするタレントをつくり、積極的にアピールしてくれる方を生み出してはどうか。
- 「鳥取とりこ大作戦」企画書を知事に提出。(参加者の谷川亮子さんが知事に提出された「鳥取とりこ大作戦の概要版」
⇒(知事)世間に訴える施策。PRのあり方を考えていく必要がある。
- 人材を得るため、教育に力を入れてほしい。どこにも負けていない「鳥取県のこれが一番」と自負できる何かがほしい。(ITでも何でも良い)
⇒(知事)液晶の教育プログラムなどを鳥取工業高校、米子工業高校等で活用しているところ。
- 米子-ソウル便の維持について、必ずしも商売に結びついていない感がある。国際便のビジネス利用であれば、ソウルよりむしろ中国ではないか。他のところを考えたりしないのか。
⇒(知事)米子-ソウル便の支援については、ワンチャンスがほしいといった観点。日本海側が生き抜いていくには、環日本海での交流促進が必要。
- 企業誘致ばかりでなく、地場産業のソフト面の支援をしてほしい。
⇒(知事)地場企業は活用すべき。企業が元気になるようなことを考えていきたい。
- 田舎暮らしを促進している。9月議会答弁で県庁と市町村をつなぐ窓口を設けたいとの答弁を知事がされ力強く感じている。今後の取組みを教えてほしい。
⇒(知事)UIターンはビジョンの中に盛り込む。県の窓口を市町村と一緒になって設置したい。
- 若者が自分の好きな独特な魅力をもったお店を作れる商店街にしてほしい。
⇒(知事)商店街に魅力ある商店をつくることは、米子に活用例がある。参考にしていきたい。
- 諸悪の根源のように言われる公共事業関係で仕事をしている。県予算は20年前とそんなに変わっていない気がするが、こんなに閉塞感が感じられるのはなぜか。建設業は除雪等で地域に貢献し、また、携わっている人も10%を超えているにも関わらず、冷遇されている。鳥取県自体が一つの会社、家族と考えてやっていくことが必要ではないか。
⇒(知事)公共事業は善だと思う。1割の人が働いている。やるべきことをきちっとやり、国の事業も地元が取れるようにしたい。
(知事総括)
- 将来ビジョンの視点が浮き彫りになってきた。
- 豊かなところを子どもたちに引継ぎ、環日本海の主役、あたたかい地域づくり等・ 夢の持てるようなビジョンをつくりたい
《その他、数多くのご意見をいただきました》
⇒(県土総務課長)森林の保水能力が落ちていくのも原因。
- 千代川や袋川、狐川の水質が悪化。魚もいない。雑草も増え、住民の憩いの場になっていない。
⇒(農林水産部長)魚がいなくなった原因として水質や護岸改良がある。簡易魚道のモデル設置等を実施したい。
- 都市計画における工業専用地域は、30年前に設定されてから見直しされていない。
⇒(生活環境部次長)指定されてから活用されていないことは承知している。市町村や住民の意見を聞きながら、用途地域の見直しも含め考えていく。
- 鳥取は大火で焼けたのに市内に貯水場がない。都会のように雨水をためるところを、いろいろな場所に作ってはどうか。
- 地震対策について鳥取大学の西田良平氏の意見を参考にされてはどうか。
⇒(知事)活躍しておられることは承知している。県の会議等にも参加いただいている。
- 地域のデイサービスなどに民間は建物に経費をかけているが、空校舎、空教室を多いに活用すべき。
⇒(福祉保健部長)空校舎を利用しての福祉サービスは検討したい。
- 学校と保育園等が連携し、学童保育も含め、老人が見える環境で子供が育つことも考えてみることが必要。
- 有機物の循環による「有機物発酵肥料」で医療費最低の日本一の県になろう。
⇒(知事)有機栽培の農地を保全するようなビジョンにしたい。
- 人口が減ることが一番の重要課題。働くところが無い。県でも産官学連携等を行っているが一般に情報が流れてこない。
- 山間地の問題は県、市町村で連携を取ってソフト面の支援をしてほしい。
⇒(知事)農業のあり方は特産振興等を図っていきたい。
- 障害者自立支援法で、弱者の自立も必要だが、弱者をいたわる観点も必要ではないか。
⇒(知事)障害者自立支援法には必ずしも賛成ではない。国にも働きかけていきたい。
- 介護施設について富山型の実施を考えているようであるが、富山型になったいきさつを教えてほしい。鳥取らしさのある介護施設になったらと思う。障害者福祉について、知事の発言で安心した。
⇒(知事)鳥取県らしい福祉施策は、是非考えていったらよいと思う。
- 市内の片原通りに空家が目立つ。空家の利用方法を考えてほしい。片原がゴーストタウンになっている。
⇒(知事)中心市街地の活性化は課題。市にも意見を伝える。
- 観光について、境港のノウハウを鳥取県全体に広げ、鳥取県が一つになって結束していく必要がある。境港の躍進は中海宍道湖周辺が結束した結果。
⇒(知事)境港を広げて、住民、地域を束ねていくことは重要。
- 鳥取県の観光ルートをつくってはどうか。新たな観光資源の活用を考えるべき。
⇒(知事)県周辺のルート設定も必要
- ビジョンの中に鳥取県を環日本海の出入口と捉えて、貿易や観光を掲げていくことが必要。
⇒(知事)環日本海で世界の鳥取をビジョンに書いていく。
- 10~20年後は、アジア全体で、外国人の移住や帰化も考えてはどうかと思う。
⇒(知事)外国人の就労について、当面はUIターンを考えていきたいと思う。
- 高齢者と乳幼児の交流など、世代間交流について県としてどういう風に考えているのか。
⇒(知事)子育て応援パスポートを実施。地域全体で支える仕組みをつくっていきたい。
- 産業振興は10年がスパン。県民はすぐ成果を求めるが、目の前の成果にとらわれないでやってほしい。
- とりあえず就職、すぐ転職といった若者が多いが、そういう人材に手を差し伸べる必要がある。 障害者雇用も考えてほしい。
⇒(知事)障害者雇用は最低賃金で働けるところを増やす方向。
⇒(企画部長)住民のスキルアップという広義の意味で捉えていたが、分かり辛かった面もある。
- 社会保険センターが競売にかけられたが、健康増進指導等、利用者は3千人を越えている。大変もったいなく、この事業を促すような考えはないか。
⇒(福祉保健部長)新聞情報のとおり社会保険センターは公募による競売にかけられ、落札者も公表されていない。したがって、どういう使われ方をするのかわからない。
- 人口減少について、島根県は近年大幅に減っているが、鳥取県は少ししか減っていない。将来も明るい。県人口の横ばい作戦が必要。
⇒(知事)そのような方向でがんばっていきたい。
- 消費税は県内消費で、県の財源が増える。もっとPRした方が良い。