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立候補について

みんなのために働く気持ちのある人を正しく選ぶために、立候補制度はあります。
公職選挙法では、公職につく意思のない人を選ばないようにするためなどの理由で、当選人になるには、まず立候補しなければならないと定められています。実際に、国の選挙や地方自治体の選挙では、お互いに面識のない大勢の有権者によって行われますから、候補者が決まっていなければ、誰かを選ぶにも判断がつかないでしょう。そうした現実的な理由からも、私たちの選挙では立候補制度がとられています。

  
○立候補の届出  
選挙に立候補するには、決まりに従って「立候補の届出」をする必要があります。
国の選挙や地方自治体の選挙への立候補の届出には、次の3つの方法があります。
 
1.政党届出
衆議院小選挙区選挙・比例代表選挙および参議院比例代表選挙で行うことができます。
一定の要件を満たす政党または政治団体が、選挙長に届け出ます。
比例代表選挙の場合は「候補者名簿」を届け出ることになります。
2.本人届出
衆議院比例代表選挙、参議院比例代表選挙以外の選挙で行うことができます。候補者になろうとする本人が、選挙長に届け出ます。
3.推薦届出
衆議院比例代表選挙・参議院比例代表選挙以外の選挙で行うことができます。選挙人名簿に登録されている人が、候補者となる本人の承諾を得て、この人を候補者にしたいと、選挙長に届け出ます。

注:  衆・参の比例代表選挙では上の1だけで、参議院の選挙区選挙と地方自治体の選挙では2と3、衆議院の小選挙区選挙では1.2.3ができるのです。

 

○通称使用の申請
立候補届には本名(戸籍の氏名)を記載しますが、本名以外で広く通用している通称がある場合、立候補届と同時に「通称使用の申請」をして、申請が認められれば、以降、立候補者名の告示、選挙公報の氏名、政見放送の氏名などに通称が使用できます。もっとも候補者が、選挙運動の中で本名を言うのは自由ですし、本名を書いても投票は有効です。

また、本名を仮名書きにする場合も通称使用の申請と同様の申請をする必要があります。    

○立候補届出の期間
立候補の届出期間は、選挙の期日の公示または告示があった日の1日間だけです。  
また、受付時間は休日平日を問わず午前8時30分から午後5時までです。
  
○立候補の辞退等
いったん立候補した後に立候補を辞退できるのは、届出期間中に限られています。
辞退は文書で選挙長に届け出なければなりません。衆議院、参議院の比例代表選挙では、選挙の期日の10日前までの間に文書で選挙長に届け出れば、政党等は名簿を取り下げることができます。

○政党等の要件
候補者の「政党届出」をする政党等は、その選挙について以下に挙げる要件のいずれか1つを満たしていなければなりません。

衆議院小選挙区選出議員の選挙
(ア)所属する国会議員を衆議院・参議院を通じて5人以上有すること。
(イ)直近の衆議院総選挙の小選挙区選挙・比例代表選挙、または参議院選挙の選挙区選挙・比例代表選挙のいずれかで、全国を通じた得票率が2%以上であること。
衆議院比例代表選出議員の選挙
※上記の(ア),(イ)または、
(ウ)その届出をすることにより、候補者となる名簿登載者の数がその選挙区(ブロック)における議員定数の2割以上であること。
参議院比例代表選出議員の選挙
※上記の(ア),(イ)または、
(ウ)その参議院議員選挙において選挙区選挙・比例代表選挙を通じて候補者を10人以上有すること
 
○供託
立候補の届け出では、全ての選挙において、候補者ごとに一定額の現金または国債証書を、法務局に預け、その証明書を提出しなければなりません。これを「供託」といいます。
供託は、当選を争う意思のない人が売名などの理由で無責任に立候補することを防ぐための制度です。
ですからその候補者や政党等の得票数が規定の数に達しなかった場合や候補者が立候補を辞退したなどの場合には、供託されたお金や国債証書は全額(衆議院、参議院の比例代表選挙では全額または一定の額)没収され、国や都道府県、市区町村に納められます。

  
選挙の種類と供託額および没収の規定

選挙の種類 供託額 供託物が没収される得票数、またはその没収額
衆議院小選挙区 300万円 有効投票数×1/10未満
参議院選挙区 300万円 有効投票数÷その選挙区の議員定数×1/8未満
都道府県議会 60万円 有効投票数÷その選挙区の議員定数×1/10未満
都道府県知事 300万円 有効投票数×1/10未満
指定都市議会 50万円 有効投票数÷その選挙区の議員定数×1/10未満
指定都市の長 240万円 有効投票数×1/10未満
その他の市区の議会 30万円 有効投票数÷その選挙区の議員定数×1/10未満
その他の市区の長 100万円 有効投票数×1/10未満
 町村の議会 15万円  有効投票数÷その選挙区の議員定数×1/10未満
町村長 50万円 有効投票数×1/10未満
衆議院比例代表 ※候補者
1名につき
600万円
没収額=供託額-(300万円×重複立候補者のうち小選挙区の当選者数+600万円×比例代表の当選者数×2)
参議院比例代表 候補者
1名につき
600万円
没収額=供託額-600万円×比例代表の当選者数×2

      ※候補者が重複立候補者である場合は、比例代表の供託額は300万円となります。 
   
○立候補の禁止と制限 
※1被選挙権を持っていない人の立候補は禁止されています。
また、被選挙権があっても立候補を制限される場合があります。 
たとえば「重複立候補」、それに「※2連座制による立候補禁止」などの場合です。

 注
※1 被選挙権があるのは、満25歳以上(参議院議員と知事の選挙では満30歳以上)の日本国民です。そのほか欠格条件などもあります。 
※2 ある選挙で、候補者と一定の関係にある者が買収などの選挙違反で一定以上の刑に処せられた場合、例外的な場合を除いて、その候補者は当選を失い一定期間その選挙に立候補できなくなります。

 

○立候補届の受理

選挙長は、立候補届の記載と添付書類に問題がなければこれを正式に受け取ります。これで「公職の候補者」 が誕生します。届け出の受理は受付場所への到着順ですが、受付開始時間前に到着した者の間の順番は公平を期するためくじ引きで決めます。

 

○候補者の異動
立候補届が受理された後、候補者に異動が起こることがあります。例えば、その後の調査で被選挙権がないと分かった場合や、不幸にも死亡された場合です。この時は立候補届の却下、候補者名簿からの抹消、場合によっては補充的な立候補などが行われます。選挙開始後の変更であり、複雑な手続となります。

  

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