防災・危機管理情報


  

「コラム」(坂本委員)

坂本委員 鳥取県教育委員会委員 坂本トヨ子

「私たち闘病女子部で~す」
テレビから聞こえる明るい声と「これはある部活動に熱中する女性たちのお話です」という字幕で始まる番組に見入ってしまいました。
 米子市の難病を発症した女性が、SNSで10代から20代の全国100人ほどの病気を抱える仲間と「闘病女子部」というネット上の部活を立ち上げ前向きに生きるドキュメンタリーです。
 壮絶な苦悩を味わったと思われる女性が、「病気で出来ないこと、病気だから出来ることを伝える勇気」で、「全国の自宅療養の人たちが、ひきこもりにならず、おしゃれをして出掛けるきっかけをつくりたい」と呼びかけ、中心である東京のオフ会に何人もの病気の女子を集めて本音を語り合うのです。
 なかでもメンバーの女子高生何人かは、線維筋痛症という病気を患っており、この病気はとてつもない痛みから、学校へ通うことが出来ず通信制の高校に転校するなど、しばしば「怠け者」とか「不登校」と誤解されやすいという初めて知る内容もありました。
 甘えていることを自覚しながらも、家族や学校に特別扱いされるのでなくSNSによる部活で、横のつながりによって「普通で居られる場所」として、それぞれが生き方の巾を広げます。
 また、通学時に痛みによって杖を必要とする女子は、「どうせ杖で歩く姿を色々な人に見られるなら、可愛く飾って綺麗な杖を見てもらう、この杖から私たちの病気を理解して欲しい」と装飾した杖をSNSにアップしたところ、福祉器具のデザインを勉強している健康な女子が、逆に闘病女子部から様々なヒントを貰うシーンもありました。
 彼女たちは、痛みが心理療法でも緩和されることを医師に教わると「病気に向き合うのは止めよう、明るく楽しく過ごそう」と発想の転換によって自分の生き方を切り拓いていくのです。
 そして「闘病女子部でーす」から始まる彼女たちの一言一句と明るい表情は、病気に限らず様々な境遇の人たちにも前向きに生きるヒントを与え、こちらがお見舞いの言葉を忘れるほど逞しく、輝く女性の象徴として映ったのでした。

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