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コラム(佐伯委員)

 教育委員 佐伯 啓子

 3月に行われた県内高校生の海外体験推進事業の報告書が手元に届き、読ませてもらいました。
 すでにご存知の方もあるかと思いますが、27名の高校生が、3月15日から22日まで、韓国、シンガポールへ行き、現地の高校生や専門学校生、日本人会、企業の方などと交流・体験活動を行っています。
 このような事業の推進にあたって、活動計画作成、訪問国の施設、企業等との連絡調整、現地への引率とさまざまな方にお世話になったことと思いますが、生徒さんの感想を読みますと、いかに得がたい体験だったかがよくわかりました。
 韓国、シンガポールともに、現地の方々とのコミュニケーションツールは英語で、2年生17名、1年生10名の県立、私立高校生は、通訳の方の助けはあったものの、これまで学んできた英語力を駆使して会話を成立させています。
 自力でコミュニケーションがとれた際の喜びは、ひとしおであったでしょうし、今後もっと英語力を伸ばしたいと感じたはずです。
 現地で活躍する鳥取県関係者をはじめとする日本の方へ、生徒さんたちは積極的に質問をし、意欲的に学ぼうとする姿勢が感じられました。
 また、韓国の生徒さんと一緒に受けた授業では、わからない言葉や表現に関して黙り込んだり、笑って誤魔化したりすることなく、ジェスチャーや絵を描くなどして相手に伝えようとする意欲を、韓国の高校生から感じ取っていて、そういう積極性や意欲を見習うべきだと感じてもいます。
 よく言われる日本人の消極性(わからないこと、自信がないことは行動に移さず、他の人の言動に任せる、明確な意思表示をしないという傾向が強いこと)のような点に気付いています。
 シンガポールの専門学校では、パワーポイントでのプレゼンを行い、生徒同士の交流もすべて英語で行われたとのことで、高校生のみなさんの能力の高さ、教職員の方々の指導力に、県民の一人としてたいへんうれしく思いました。
 帰国後に書かれた生徒さんの報告文に感銘を受けました。今回の体験で自分のことを見つめ直し考えたこと、日本に関する思い、訪問先の国やその地で出会った人々から得たことについて、率直な言葉で表現されていました。
 海外での体験を通して、自分が日本についてよく知っていないことに改めて気付いたり、日本人の現地での活躍に誇りを感じたり、外国の方が日本をどう見ているのかを感じ取ったりしています。
 国によって考え方は異なるが互いを理解しようとすることや、意思表示の大切さなどに気付いたことは、今後の生き方に大きな影響を与えると思いました。
 国内外のさまざまな文化や人々と出会い、ふれあう、交流・体験活動は、自己を見つめ、夢の実現に向けて、さらに学んでいこうとする姿勢をもつことにつながります。
 今後もこのような体験事業が計画され、鳥取県の未来を担う子どもたちによい機会が与えられること、またそういう機会を積極的に活用して自己を伸ばしていこうとする子どもたちが育っていくことを願っています。

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