防災・危機管理情報


  

コラム (坂本委員)

坂本委員 鳥取県教育委員会委員 坂本トヨ子

 新緑が鮮やかに映え、花や木に活力を感じる良い季節になりました。
 この五月晴れの日、私の町では、町制100年の記念行事として、小学生が高校生から指導してもらいながら、森に350本の苗木を植える遠足が行われました。
 植樹の後、街に帰る子どもたちに、交通整理をするボランティアさんや商店街の皆さん、そして、駅員さんやバスの運転手さんなど町中の人々が、とても優しい笑顔で声を掛けておられた姿が、爽やかな新緑と同化して、印象的でした。
 この地で、自ら植えた苗木を確認する為に、五年、十年、二十年後に、友人と森へ向かう子どもたちの将来象を思い描くことが出来るのは、大人が地域で子どもを見守りながら、何よりも自然体で次世代育成事業に取り組んでおられる事例であり、嬉しく感じたのです。
 およそ教育と育林が似ているとよく言われますが、それは育むなかで、色々な状況変化に対応しながらシグナルを読み取る必要があることや、親子四代に渡り、関わり方次第で様々な年輪が造られることなど、現場で多くの共通点に気付かされます。
 樹齢100年の杉や桧を買い求めて製品づくりを生業としている私は、教育について考える時、先人に対する畏敬の念を抱きながら、目先の合理化に惑わされず、「桃栗三年 柿八年」「十年樹木 百年樹人」「米100俵の精神」など、すぐに実がなる樹の諺や、100年先の人材育成の格言をもとに、何が大切か、何を大切にするべきか、自分に出来ることを模索しながら年輪を重ねて行こうと思います。

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