鳥取県教育委員 松本美惠子
去る3月26日、県教育委員会と県知事は、「鳥取県の子どもたちの未来のための教育に関する協約」を締結しました。
協約は、毎年内容を再検討した上で、改めて締結をし直しており、今年で3回目になります。
今回の協約は、「子供たちの未来のための教育振興施策」として、
(1)「学びの質の向上」
(2)「いじめ・不登校対策」
(3)「特別支援教育の充実」
(4)「スポーツ・文化芸術活動の振興」
の4つの柱を掲げて、各柱毎に、これから1年間になすべき具体的施策を決めています。
教育委員会は、レイマン・コントロール(すなわち教育の政治的中立性、継続性・安定性を確保しつつ、住民の意思と社会の良識を教育行政に反映させようとする制度)の考え方に立ち、首長から切り離された独立の機関としての位置づけをあたえられていますが、このことは首長との対立を表すものではないことはもとより、予算の裏付けが必要な教育施策は、首長の理解と協力がないと実現も困難となりかねません。
現在、国政レベルで議論されている教育委員会制度改革案によりますと、首長は、教育委員会との間で総合教育会議を開いて、「教育行政の大綱の策定」、「教育施策の方向性」、「児童、生徒等の生命又は身体の保護など緊急事態への対処」について、協議をすることとなっています。
本協約は、これを先取りしたとも思えるようなものであり、県教育委員会は、協約に基づきこれから1年間になされるべき施策の実施に取り組むと共に、更に、これに限らず、社会が急速に動き、発展する中で、例えば競争に晒されている子どもたちが、そのスピードや内容についていけずに脱落をしてしまったり、障がいのある子どもたちが、あるべき場所を見つけることのできないまま社会に出されることなどがないように、子どもの個性を尊重し、よりよい成長に資するような教育施策を、時宜に遅れず立ち上げて実施することが求められているのであり、その意味でも、協約は、県教育委員会の機動力を高める手段となりうるだろうと考えています。