鳥取県教育委員 岩田慎介
今年3月、鳥取県知事と鳥取県教育委員会は、お互い協力して子ども達が豊かな未来を切り拓いていくことができるよう、保護者や県民の皆さんと一緒になって取り組むべく、教育振興協約を締結しました。
そして、その諸施策を展開するのに実施した事業の検証を毎年行い、次年度以降よりよい施策へとつなげていきます。
鳥取県の健やかな子ども達を育むための施策内容の充実は勿論のことですが、更に着実な成果を目指し全県民のチームワークと事業実施の柔軟性をもって取り組もうというわけです。その教育振興施策の具体的取り組みの中の1つに学校支援ボランティア事業の推進があります。
「学びの質」を高めるための少人数学級の全面実施による更なる教師の多忙感、家庭や地域の子ども達に対する無関心等を背景に学校、家庭、地域が連携してそれぞれの地域の子ども達をそれぞれの地域全体で育もうというわけであります。
ある小学校に学校訪問をしたとき、ボランティアの優しいおばあちゃんが、家庭科の授業で裁縫を教えていました。「若いお母さん達より少しは上手かな?」と楽しそうに指導をし、また子ども達も素直に真剣に取組んでいた授業風景が大変印象的でした。
学校支援ボランティアは、それぞれの地域の実態によって支援内容が違います。
学習授業や学校行事、清掃等の環境作業、その他にも色々と協力して頂いています。
しかし、支援内容の充実も必要ですが、なによりも学校、家庭、地域が連携して健やかな子ども達を育む体制そのものが大切であります。結果として 地域ボランティアの方々は子ども達の反応への達成感、子ども達は、地域ボランティアの皆さんへ感謝の気持ちや親近感が生まれ、ここに地域家族が誕生するのです。
先の東日本大震災を契機に私達は絆の大切さ、人と人とのつながり、人と地域とのつながりの重要性を改めて痛感しました。この未曽有の大震災を自らのこととして据え自らの生活に置き換えると、どんな事でもまずは、地域家族で取り組む姿勢が大切ではないでしょうか?