鳥取県教育委員会 委員 坂本 トヨコ
私事ですが、この度、実家の母の葬儀の為、秋田県に行って参りました。
子供の頃の病弱な私に愛情いっぱい、一生懸命育ててくれた母でした。
私が母と共に暮らした時期は、1950年代から60年代にかけての、今に比べて情報や機械化などは遅れ、まだまだ不便な時代でした。
母は、不便な中でも様々な工夫で生活を切り盛りし、「不満を言うより知恵を絞れ」と、時々昔話やとんち話などで、おおらかに笑いながら、道徳心をなにげなく教えてくれたものでした。
今、東日本大震災による被害と、物資や燃料、電力の不足を受けて自粛ムードや省エネの動きが全国的に加速しているこの時、母の死に直面したことで、改めて、不便な時代の生活のなかでの母の生き様は、色々なメッセージを送っているように思われてなりません。
私も以前から、今の生活スタイルが便利すぎることに、少し不安を感じておりましたが、これを機に、私たちの年代までの人たちが経験している当時の暮らし、不便さの中で知恵を絞る術を、今こそ相互の繋がりで現代は勿論、次世代の幸せのためにも、皆で力を合わせて出来る限りのことを考えて参りたいと、特にこの度は強く思う出来事でした。
何年か後に「古き良き時代」と言われる時代が訪れますように。