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学校教育への期待

鳥取県教育委員 笠見 幸子 笠見委員の写真


 本県に素晴らしい教育実践で成果を上げている数々の学校があることは、とても嬉しいことです。県内すべての学校が秩序ある学校らしい学校を構築し、安心して学べ、県民の期待に応えられる学校であることを願うものです。

 学校教育のねらいは、何といっても確かな学力の定着です。一昨年、全国学力・学習状況調査結果の開示について議論されました。全国学力・学習状況調査の平均点が、学校評価の物差しであるかのような誤解から、学校の序列化を生み、悪影響を及ぼすのではないかという心配からです。
 私は、学力を(1)知識・技能 (2)学ぶ力  (3)生きる力 の三領域の総合力として捉え、決してペーパーテストの得点だけで測られるものではないと思っています。この観点で、一人ひとりの子どもや学校が評価されることを期待するのですが、今尚、高校入試や大学入試結果が話題となるところに中学・高校の苦悩があります。そのためでしょうか、知識・技能領域が重要視されて先行し、学び方、生き方の領域が十分指導しきれていないように思います。
結局、そこに知識・技能の伸び悩みや今日社会における青少年や大人社会における憂える問題が多発している原因があると思うのですが・・・。心の教育や規範意識の指導は、以前からなされてきたにもかかわらず必要性が叫ばれるのは、何かが欠けている為に身についていないということだと思います。

 確かな学力の定着のためには、学び方や生き方についての指導が不可欠です。教育においてそのねらいを達成するには基盤、作物栽培に例えれば土壌が重要です。学校・大人がいくら熱心に取り組んでも、子どもの側に受け入れる土壌がないと一方通行になってしまい、教育効果は望めません。この土壌づくりの方法として、当たり前で平凡なことですが、それを2~3徹底させる取り組みがあります。
 例えば、(1)呼ばれたら「はい」と返事をすること (2)挨拶は自分から先にすること (3)時間を守ること等、簡単なことです。さらに、(4)履物はかかとを揃えて置く、とか (4)腰骨を立てて話を聞く等。私はこのことを「凡事徹底」と言っていますが、自ら行おうと思わなければ、簡単なことでも出来ません。そこが大切なところで、徹底しだしますと子どもたちは変わり、学ぶ姿勢ができてきます。学校は「学ぶ所」としての秩序ある学校らしい学校に変わってきます。たとえ荒廃している学校でもです。
  
 これらを徹底できるようにするには、校長初め全教職員で取り組むことがポイントです。強制ではなく、後ろ姿で示しながら(ここが肝心です)仕向けて行くことです。こうした土壌づくりができますと、指導は大変し易くなります。どんどん種を蒔いていけばいいのです。鉛筆の持ち方、ノートの使い方、わからないことの調べ方、家庭学習の仕方などの学び方を教え、指導者が子どもと共に授業づくりに励めば、学力の向上は期待できます。生活指導上の問題も起こらなくなるので、教材研究、授業づくりに時間確保ができるようになります。

  課題・問題山積の昨今、学校現場は、その対応で多忙極まりなく授業準備が思うようにいかないという嘆きを聞きますが、教員は授業で勝負です。教育の肝心かなめなところがしっかり取り組まれていれば、他の教育内容はスムースに展開し、成果が期待できるものであります。
 それぞれの学校の一層の精進に期待します。(「為せば成る」 上杉鷹山の言葉)

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