展示・イベント等

埋蔵文化財センター古代体験メニューを一堂に

 所長室の空きスペースを使って、平成15年から令和4年度にかけて実施してきた「古代体験メニュー」作品例を陳列しました。こうして並べると、当時の記憶もよみがえり、また体験したい!!という欲求にかられます。
 写真1は、皆さんに好評の平成22年以降の「古代まつり」等で実施した、または実施予定であった古代体験27メニューの48作品例です。
 これらの体験メニューは、鳥取県の遺跡で出土した遺物や遺跡をもとに埋蔵文化財センターがオリジナルで作成したもので、現在もお楽しみいただけるものとなっております。事前にお知らせいただけますと、体験することができます。
 今後も、魅力的な体験メニューを開発していこうと思っています。  

  ご期待ください!!

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写真1 古代体験作品

 

[令和4年12月掲載]


共同研究報告書を刊行しました!

 当センターと岡山理科大学教授白石純氏が平成31年度から令和3年度にかけて行った共同研究『須恵器からみた古代因幡の流通と交通』の報告書が完成しました。古代の因幡(いなば:鳥取県東部)地域の須恵器(すえき)を研究対象として、八頭(やず)町の私都窯跡群(きさいちかまあとぐん)等の生産地から出土した須恵器(7世紀から10世紀頃)と、岩吉(いわよし)遺跡、高住平田(たかずみひらた)遺跡、良田平田(よしだひらた)遺跡、青谷横木(あおやよこぎ)遺跡等の因幡地域を特徴づける消費地遺跡から出土した須恵器の胎土分析を中心に器の形の特徴や、器に使われた粘土の理化学的分析(蛍光X線分析)の両面から研究しています。また、伯耆、出雲、播磨など周辺地域との比較も視野にいれた研究成果もまとめています。準備が整い次第、鳥取県内の図書館等へ発送するとともに、鳥取県埋蔵文化財センターで販売しますので、ぜひご一読ください。

 販売についてはこちらを御覧ください→リンク
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[令和4年11月掲載]


「古代の森」の樹木についての御指導をいただきました。

 埋蔵文化財センターにある「古代の森」には、縄文時代や弥生時代に暮らしていた人々が道具の材料や実を食料にしていた樹木が植えてあります。

 平成2年に「古代の森」をオープンした頃には、各樹木にネームプレートが掛けてあり、来場された方に樹木の種類が分かるようにしていました。しかし、「古代の森」オープンから30年以上経過した今、ほとんどそのプレートは残っておらず、また、新たに自生した樹木も増えてきていることから、樹木の知識が十分とは言えない考古学専門の職員にとって、来場された方への樹木の解説が難しく、せっかくの「古代の森」が十分に生かされているとは言いがたい状況でした。

 そこで、県立博物館の清末幸久さんをお迎えして御指導をいただき、「古代の森」にある樹木について1本ずつ種類を教えていただきました。53本の樹木について、1本1本丁寧に解説いただきながら御教示いただき、25種類もの樹木があることが分かりました。

 樹木は、アカメガシワ、イヌブナ、カシワ、クスノキ、クヌギ、ケヤキ、シラカシ、スダジイ、トチノキ、クリなどの広葉樹が主流を占めていました。

 クリは実が美味であるのに加え、木材が耐久性や耐水性に優れた硬い木で建築部材に使用されており、トチノキは実に豊富なデンプンやタンパク質を含むことから縄文時代から食料とされ、木材は緻密で加工がしやすく割れにくい特性があることから容器に加工されていました。この2種は、食べてもよしの樹木です。

 今後、改めて樹木プレートを制作して、御来場の皆様に樹木について分かりやすく見ていただけるようにする予定です。

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樹木指導2

樹木1本ずつ、詳しく観察していただきながら御指導いただきました。

[令和4年11月掲載]


クヌギのドングリ、拾い頃です!

 先日、コナラのドングリの記事をアップしましたが、季節が進んでコナラも終わり、現在はクヌギのドングリが時期を迎えています。
 「古代の森」で一番大きなクヌギの木は復元前方後円墳の横にあり、古墳の周辺や上には大量のドングリが殻斗と一緒に落ちています。
 クヌギのドングリは、直径2cmを超える大きくてまん丸な実とモシャモシャの殻斗が特徴です。その大きさからいろいろな工作にもオススメのドングリ、今なら好きなだけ拾い放題です(開館時間内においでください)。
なお、もう少ししたらシラカシのドングリの時期となりますので、どうぞお楽しみに。

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クヌギのドングリ

[令和4年11月掲載]


企画展「因幡の須恵器」開催中!!

 令和4年11月2日(水)から当センター展示室で、須恵器をテーマにした企画展「因幡の須恵器」を開催しています。
 当センターでは平成31年度から令和3年度にかけて、因幡地域の古代の遺跡から出土した須恵器を研究対象として、岡山理科大学教授白石純氏との共同研究を行いました。今回の企画展では、その際に研究対象とした、八頭町の私都窯跡群(きさいちかまあとぐん)から出土した須恵器(7世紀から10世紀頃)を中心に展示しています。
 器の形の特徴と、器に使われた粘土の理化学的分析(蛍光X線分析)の両面から、伯耆や出雲など周辺地域との比較を行った研究成果の一部を紹介しています。
 会期は令和4年12月16日(金)までです。お見逃しなく!
 なお、共同研究の成果を多くの方に知っていただく、とっとり考古学フォーラム2022「須恵器からみた古代因幡の流通と交通」を、令和5年3月26日(日)に開催する予定です。詳細が決まりましたら、改めてホームページ等でお知らせしますので、ぜひご参加ください。

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展示室入口

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企画展示の様子

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山ノ上窯跡出土須恵器の展示


実りの秋! 今年はドングリが豊作です!!

 令和4年10月も中旬となり、朝晩めっきり涼しく、秋らしい陽気になりました。
 「秋」と言えば「実りの秋!」。稲刈りも進んで新米を楽しまれている方も多いと思いますが、古代の人々にとっても秋は収穫の時期でした。
 当センターの周囲には、「古代の森」として、古代の人々が利用していたドングリがなる木々が植えられており、毎年秋には多くのドングリがなっています。特に、今年は豊作で、今はコナラのドングリが足の踏み場もないほど落ちています。残念ながら、アクを抜かないと食べられないので、利用するのはなかなか難しいのですが、これほどの収穫があれば、古代の人々も大喜びだったでしょう。
 これからさらに、シイやカシ、クヌギといった色々なドングリも採れるようになります。埋蔵文化財センターの開館時間であれば、自由に拾っていただいて構いません。天気のいい秋の日、古代の人々になったつもりでドングリ拾いをしてはいかがでしょうか。

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コナラのドングリ

[令和4年10月掲載]


GIGA(ギガ)スクールフェアに出展しました。

 令和4年8月21日(日)に倉吉未来中心で開催された、「GIGAスクールフェア2022inとっとり」(主催:鳥取県教育委員会)に、埋蔵文化財センターも出展しました。最近のコロナ陽性者数の急増で開催が危ぶまれていたのですが、対策をしっかりと取り、開催にこぎ着けました。当センターは、『デジタルDE(で)考古学』と題し、「古代山陰道XRを体験しよう!」「出土品の3DCGを作ろう!」の2つで、ICT(アイシーティー)を考古学に活用する取組を紹介しました。

 メインブースで展示した「古代山陰道XRを体験しよう!」では、約30名の方にXRを体験していただきました。航空レーザー測量により地形測量を行ったデータを活用し、発掘調査の成果をもとに古代山陰道や周辺の様子を復元したことを解説すると、皆さんとても感心されていました。中には、「都までどのくらいかかったのですか?」「馬は疲れなかったのですか?」など、鋭い質問をされるお子さんもいました。なかなか言葉で説明してもイメージしにくいものも、こうした復元動画があると理解しやすくなります。

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古代山陰道XRを体験する様子

 セミナールームで行った「出土品の3DCGを作ろう!」では、2回の実施で合計6名の方にデジタルカメラを使った三次元画像の作成を体験していただきました。今回は、古墳時代の土師器を題材に、少しずつ回転させながら写真を撮影し、それをパソコンに取り込んでソフトを使って三次元画像を作りました。

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デジタルカメラを使った三次元画像の作成を体験

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パソコンを使って写真から三次元画像を作成する様子

 パソコンのスペックにより、少し時間がかかってしまうといったこともあったのですが、写真から簡単に三次元画像を作成できることを知って、皆さん驚かれていました。
 当センターのICTを活用する取り組みは、最先端ではないまでもかなり進んでいると思います。今後もこうした取り組みを進め、もっと埋蔵文化財や考古学を身近に感じてもらえるように頑張っていきたいと思います。


文化財で使われる新しい計測技術

 令和4年7月29日から企画展示「文化財の三次元計測」を行っています。

 今回の展示では、三次元計測技術が文化財の調査や活用にどのように使われているかを紹介していますが、その1つをご紹介します。

 鳥取市気高町の下坂本清合(しもさかもとせいごう)遺跡では、室町時代の備前焼の壺に大量の銅銭が納められた状態で見つかりました(埋蔵銭と呼ばれます)。

 見つかった壺は、一部が割れていたことで、銅銭が納められたようすがよく分かる状態でした。そのままの状態で残すことも考えられましたが、入っている銅銭の枚数や銅銭の種類などを知るためにはすべて取り出す必要がありました。そこで、銅銭を取り出す前に3次元計測を行うことになりました。

 計測には、レーザーを照射して対象物の計測を行う器械が使われました。作業は回転台の上に壺を乗せて、少しずつ回してレーザーを当てる場所を変えながら計測を行い、コンピュータ上で計測したデータを合成することで壺の全体形を作り上げていきます。

 今回できあがった三次元データには色情報がありませんので(色情報も記録できる器械もあるそうです)、同時に撮影した写真をデータの表面に貼り付けることで、あたかも本物の壺がコンピュータの中に現れます。このデータは見る人が自由に回転させたり、拡大して細かい部分の様子を見たりできます。

 その後、三次元データを基に出土した状態のレプリカが作られ、壺の中に入っていた銅銭とともに展示できるようになっています。

 今回は、ロビーに本物の壺と銅銭を展示するとともに、展示室内にレプリカを展示していますので、見比べていただきたいと思います。

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本物の埋蔵銭

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三次元計測のようす

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埋蔵銭の三次元画像

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埋蔵銭のレプリカ


企画展示「文化財の三次元計測」開催のお知らせ

 令和4年7月29日(金)から、当センターの展示室で、企画展示「文化財の三次元計測」を開催しています。
 発掘調査でみつかった遺構や遺物は、これまで図面や写真といった二次元(縦・横)の媒体で記録して、本やパネルに印刷して表すことがほとんどでしたが、近年は技術の進歩やパソコンの高性能化に伴い、三次元(縦・横・高さ)で遺構や遺物の形を計測、記録する方法が簡単になり、そのデータを基に幅広く研究や活用ができるようになりました。
 今回の企画展示では、三次元計測が、埋蔵文化財の調査や活用に用いられた事例を紹介しています。最新の調査技術とその成果をどうぞ御覧ください。

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企画展全景

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企画展その1

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企画展その2


企画展示 「歴史を塗り替えた発見」の見どころ紹介2

 現在好評開催中(令和4年6月3日(金)から7月22日(金)まで)の企画展示「埋文センター40年の歴史(2)歴史を塗り替えた発見」の見どころ紹介、第2弾です。
 今回紹介するのは、鳥取市高住牛輪谷(たかずみうしわだに)遺跡で見つかった「団扇形(うちわがた)木製品」です。杉を加工して作られたもので、アルファベットの「D」の直線部分に軸がとりつき、軸の端は一段太く作られています。「D」の部分にはスリットが入れられており、その部分に羽根などを差し込み、木の目釘で留めていたようです。「団扇形」とは呼んでいますが、今使っている団扇とは異なり、あおいで風を起こすのではなく、身分の高い人の顔を隠すために使われたものです。
 古墳時代後期(7世紀前半頃)のものですが、この時期の団扇形木製品は大変珍しく、ほかに奈良県藤原京跡出土例(7世紀後半)があるくらいです。遺跡の中央にある溝の中から、多数の木製祭祀具(刀形、斎串(いぐし)など)などとともに見つかっており、祭祀の際に使われた可能性も考えられます。「団扇形木製品を使って顔を隠すほど身分の高い人って、どんな人がいた?」と想像がかき立てられる、もしかすると歴史を塗り替えるかもしれない発見です。
 この他に、この高住牛輪谷遺跡からは、普通の2倍の大きさがある須恵器杯(つき)(展示中)や珍しい二口の移動式かまど、漆塗りの木製壺鐙(つぼあぶみ;乗馬の際に足を乗せるもの)、2,000点を超える桃の種など、ちょっと変わった出土品がいろいろ見つかっています。鳥取県の歴史を考える上でも、とても興味深い遺跡です。
 なお、今週令和4年7月2日(土)は午後1時から5時まで特別開館しておりますので、この機会にどうぞ御来館ください。
 また、企画展に関連する第2回まいぶん講座「埋文センター40年の歴史(2) 歴史を塗り替えた発見」(令和4年7月16日(土)開催)の参加者も現在受付け中です。タイトルのとおり、山陰最古級の本高14号墳、古代山陰道が発見された青谷横木遺跡をはじめ、近年歴史を塗り替えた様々な発見を紹介します。一度に全てを聴けるのはこの講座だけ!皆さま、どうぞ御参加ください。

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高住牛輪谷遺跡団扇形木製品の出土状況

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団扇形木製品の使い方(イメージ)

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センター紹介

 久松山地域は戦国時代以降鳥取城が築かれ、鳥取藩32万石の中心地でした。現在でもこの地域は県庁があり、行政の中心地となっています。

 しかし、戦国時代から遡ること約800年前の奈良時代、県庁から4キロほど離れたこの国府町に国史跡因幡国庁(現在の県庁にあたるもの)がありました。今ではひっそりとした田園地帯ですが、因幡三山(甑山(こしきやま)、今木山(いまきやま)、面影山(おもかげやま))に囲まれ、当時の面影を残す万葉の歴史と古代の出土品にあふれた万葉の里となっています。
 この歴史豊かな万葉の里の一角に埋蔵文化財センターはあります。


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