教育委員 佐伯 啓子
平成28年は、穏やかな年明けでした。鳥取県教育のさらなる充実に向けて、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
昨年開催された近畿高等学校総合文化祭鳥取大会では、本県の高校生のもっているすばらしい力を目の当たりにして、たいへん心強く思いました。学校現場では、一年間のまとめを行う時期ですが、中学、高校それぞれの3年生は、新たなステージに向かう準備で、希望と不安が入り混じっていることと思います。本県の子どもたちは、自己評価が少し低めの傾向にあるように思います。(控えめなのか、自己有用感が得られる体験が少なく、自分に自信がもてていないのか。)しかし、前述の高文祭では、ステージ上での発表者はもちろん、裏方で働いている多くの高校生が、生き生きとにこやかに活動していて、一人一人が本当に輝いていましたので、やはり自己表現できる機会、認められる場が、いかに大切かを実感しました。
子どもたちがもっている可能性を、わたしたちは十分承知しているのですが、その力を発揮できる場をどのように設定していくのか、いかに情報提供をするのか、課題のようにも思います。連携する機関や関係者の方々の理解の輪を広げること、本当はそう難しいことではないとも思いますが、前例がない、多忙である等、間にいる大人の思いで直接子どもたちへ、そういう場があることの周知がはかられないことがあるとすれば残念なことです。地域とともに子どもたちを育てるという意識は、どこでも共有されるようになってきています。子どもたちの力を伸ばすために、関係者が手を携えることが、いっそう求められます。
保幼小、小中、中高の連携も広がってきました。異年齢の子どもたちの交流は、身近な憧れの存在(モデル)を認識する、年下の子どもたちと一緒に活動することで自己有用感を得る等、双方にとって成長の機会になります。校種を超えての交流を、できるところから行い、子どもどうしの学び合いの場をぜひ設定してほしいと願っています。
子どもたちが、自ら課題に気付き、その解決に向けて試行錯誤しながら取り組み、周りの人々と協働して活動し、その過程で、思考力、判断力、表現力が培われていく、そういう学びのスタイルが、多くの学校で行われています。先の高文祭での高校生の姿は、その成果の表れだったと感じています。
少子化で過干渉になりやすく、失敗する前に手をさしのべられるような環境にいる子どもたちが少なからずいます。わたしたち大人は、自立してセルフコントロールのできる人間へと成長できるように、子どもたちを取り巻く環境を創造していきたいと、新年を迎え気持ちを新たにしたところです。