教育委員 佐伯 啓子
今年の冬も雪の日が多く、昨年ほどではありませんでしたが、積雪もかなりありました。毎日のように雪が降り続き、大人は「ああ、また雪か」と憂鬱になったりします。子どもたちは雪を見ると心がうきうきして、雪遊びがしたくてたまらなくなり、休憩時間になるといそいそと校庭に出て行きます。その様子を見ると自然に笑みが浮かび、こちらも元気になりました。しかし、中には自分からすすんで外に出ようとしない子どももいます。クラスで話し合ってみんなでやる遊びを決めて、声をかけると出て行き、遊んでいるうちに生き生きとした表情に変わり、体を動かしたことで頬も赤くなって教室に戻って来ていました。
せっかく積雪のある地域に暮らしているのですから、冬のスポーツに親しむ機会を大切にしたいと思います。スキー教室の引率をしていましたが、さすがに子どもたちは上達も早く、初めて経験する児童も、滑る、止まる、曲がるができるようになって、冬山でのスポーツを全身で楽しんでいました。5年生にとってスキーを担いで、スキー靴の袋を持ってスキー場まで歩くのはたいへんでした。中には早々に音を上げそうになる子どももいて、何度も声をかけ励ましていると、クラスの元気のよい男子が「持ってあげる」と自分から助力を申し出てくれ、弱音を吐いていた子どもも何とか頑張って歩くことができました。スキーを楽しむだけでなく、学級の友だちとの関係を深めたり、教室では見られない子どものよい面に改めて気付かされたりした行事でした。
雪の日は、車での迎えが多くなりがちですが、友だちと話をしながら雪道を歩くのも子どもにとって良い経験になります。雪で溝がわからない、街路樹から雪が落ちてくる、道路幅が狭くなっていて車の行き違いに気を付けなくてはならない等、危険予知を学ぶとともに、脚力もつきます。
鳥取県の児童生徒の体力・運動能力調査の結果から日常的に継続して運動に親しむ習慣を身につけることの大切さを、改めて感じました。幼児期や学童期の子どもたちの遊びは、心身の健やかな成長に欠かせません。できるだけ様々な遊びの機会が得られるように配慮されていることとは思いますが、子どもたちは好きな遊びに偏る傾向がありますので、季節や行事、体育の学習などと関連して、遊びの提案をしていただきたいと願っています。中高生になると、本人の興味関心等から運動量は二極化傾向になります。成人してからの長い人生、自己の健康に関心をもち、体力の維持増進に、また精神のリフレッシュのために、運動に親しむ習慣が求められます。その素地を幼少期から培っていきたいと思います。
最近はゲーム機やスマホでの友だちとは関わらない遊びの時間が多くなっているようにも感じています。人と関わりながら体を動かす遊びを体験できるように、子どもたちに関わる大人が、心していきたいと思っています。