令和3年9月10日に埋蔵文化財センターの入口ロビーの展示ケースに、「知っとこ!鳥取県の考古資料」コーナーを設けました。これは、一般にあまり知られていない鳥取県内の考古資料を紹介するもので、第1弾は「土製支脚(どせいしきゃく)」です。
現鳥取県を構成する旧因幡・伯耆国の原型ができた古墳時代終わり頃から古代(6世紀後半から8世紀頃まで)まで、山陰地方では煮炊きの際に「土製支脚」と呼ばれる土製品が使われていました。これは円柱あるいは円錐状の胴体の上部に、V字状もしくはU字状の頭部が直交して作られるもので、2個あるいは3個一組として煮炊きする甕(かめ)を支えたと考えられます。
この土製支脚は、これまで県内では県西部に特に濃密に分布し、東部にはほとんど存在しないとされてきましたが、近年の鳥取西道路の建設に伴う発掘調査で東部においても出土数が急増しました。また、地域ごとに土製支脚の形態が異なる事が知られていましたが、その分布にも興味深い点が見られることが分かりました。
今回の展示では、そうした土製支脚の、県内でも地域ごとに形態が異なる点や、その分布や地域性について紹介しています。企画展「いにしえの田園風景(秋)」と合わせて御覧ください。
なお、今後もこの「知っとこ!鳥取県の考古資料」コーナーは定期的に展示替えをしていく予定です。どうぞお楽しみに。
展示の様子
「夏休み自由研究お助け展示」を令和3年8月27日(金)まで開催しています。
夏休みに入って2週間程過ぎましたが、自由研究のネタをお探しではありませんか?そんな時には、当センターの「自由研究お助け展示」をご利用ください。
道路脇の小山にある古墳など、普段みなさんが気づいていない遺跡は結構あります。そして、それは絶好の自由研究のネタになります。このような自由研究のネタになる身近な遺跡や歴史のテーマを、「ネタ1」から「ネタ3」まで展示でご紹介しています。
また、この展示だけではなく、自由研究の見本の展示、そして、自由研究の参考となる常設の出土品展示、クシナ城ジオラマなどもあります。
夏休み期間限定の当センターホームページ「夏休み自由研究のヒント」も公開中です。
この夏休みは、当センターを使って一味違う自由研究作りをしてみましょう!!
→「夏休み自由研究のヒント」はこちら
→自由研究のネタ探しに便利な「鳥取遺跡MAP」はこちら
夏休み自由研究お助け展示と古代まつり体験作品
自由研究見本展示
年明け(令和3年1月)に紹介した鳥取市青谷横木遺跡で出土した「牛形」の展示を始めました。
この展示に合わせて、当センターで行っているトレハロースによる保存処理が終わった木製品の展示速報コーナーもリニューアルしました。その中には、新年らしく(?)、名前に「琴」の文字がつく製品も含まれています。センターにお出かけの際は、ぜひご覧ください。
令和2年10月に埋蔵文化財センター入口ロビーの展示替えをしました。
今年度保存処理を終えた古代の木製祭祀具(もくせいさいしぐ)を展示したことは以前御紹介しましたが、それ以外の展示ケースも展示内容を入れ替えています。
ロビー奥の展示ケースは、「古代の『名産品』」と「中世の鳥取」をテーマにしています。「名産品」のコーナーでは、弥生時代にいち早く盛んに行われていた「玉作(たまつくり)」と、平安時代の「延喜式(えんぎしき)」で鉄の貢納国(こうのうこく)とされた伯耆の「鉄生産」を示す資料を展示しています。玉は素材を北陸や北近畿、出雲など他地域から入手しており、原料を輸入して製品を輸出する現在の日本の姿と重なります。また、鉄生産では、貢納品の鉄をどこでどのように作ったのかを知る、貴重な資料を展示しています。
また、その隣のケースでは、中世の資料を展示しています。鎌倉時代の屋敷の隣から見つかった墓に納められていた中国製の青磁(せいじ)や土器類、山の斜面で見つかった、室町時代の15,000枚以上もの埋蔵銭など、注目される資料を紹介しています。
ロビー展示では、今後もたびたび展示替えを行う予定ですので、どうぞお楽しみに。
1階ロビー展示の紹介、第3回です。
鳥取西道路の建設に伴う発掘調査では、これまであまり明らかになっていなかった古代(飛鳥時代~平安時代)の遺構・遺物が多量に確認されました。
この中には、当時の役所(官衙)に関連すると思われるものも多く、文書事務に関わる硯や墨書土器、役人が身につけた帯金具や銭貨などが見つかっています。低湿地の遺跡が多かったこともあり、文字を書いた「木簡」が多く見つかったのは特筆されます。
また、人や馬、刀などをかたどった「形代」や先を尖らした「斎串」などの「木製祭祀具」も多量に見つかりました。これらの木製祭祀具は、公的な施設周辺で執り行われた儀礼で使われたもので、いくつかの遺跡ではまとまって大量に出土しており、周辺にはそうした施設が存在したと考えられます。
展示室入り口横の展示ケースでは、こうした古代の出土品を紹介しています。
[令和2年6月掲載]
1階ロビー展示の紹介、第2回です。
先日紹介した、『鳥取西道路の「名品」』の向かいには、鳥取西道路の発掘調査で見つかった大量の土器から、器の移り変わりを展示しています。
遺跡から必ずと言っていいほど出土する土器。粘土をこねて形作り焼いた土器は、液体を容れることができ、それを火にかけて煮炊きすることもできます。土器の発明は私たちの祖先の生活を大きく変えたと考えられます。
当初は主に煮炊きに使われたことが、土器内外面に残る痕跡から分かりますが、弥生時代以降、こうした痕跡が見られない小型の土器が増加します。この展示では、こうした個人用とも考えられる器を、時代ごとに紹介しています。
ちなみに、写真右下は移動式かまどですが、本体斜め後ろに穴を開けて付属部を付け、土器を載せる掛口を二つにした変わったかまどです。今のところ湖山池南岸地域に分布が限られるため、「湖山池南岸型移動式かまど」と呼んでいるのですが、なぜかこの地域以外には存在せず、二口の使い方もよくわからない、これもまた「名(迷?)品」です。
[令和2年6月掲載]
埋蔵文化財センターは、展示室のほかに入口を入ってすぐの1階ロビーにも展示ケースを置いて資料を展示しています。(令和2年5月27日時点)
先日、御紹介した発掘調査速報展示の隣のケースには、鳥取西道路の建設に伴う発掘調査で出土した数々の出土品から、重要な資料をよりすぐって展示しています。
例えば・・・
・青谷横木遺跡の漆塗弓(縄文時代):樹皮を巻いて漆を塗った飾り弓
・乙亥正屋敷廻遺跡の八禽鏡(弥生時代):意図的に割ってさらに小孔を穿った中国鏡
・松原田中遺跡の木製匙(古墳時代):木を精巧に削り出した匙
・高住牛輪谷遺跡の銅鈴(古墳時代):当時の姿をよく残す八角形の鈴
・下坂本清合遺跡の埋蔵銭(室町時代):備前焼の壺に納められた銭15,524枚
(※壺に入った状況はレプリカ) などなど
いずれも、県内でも類例の少ない、「名品」です。是非、御覧ください。
[令和2年5月掲載]