先日、青谷上寺地遺跡地内の体験水田で、青谷小学校と青谷高校の皆さんが古代米の田植えを行ったところですが、今、青谷平野の水田地帯では、植えたばかりの苗の鮮やかな緑色が広がって美しい景色をみせています。水が張られた田んぼには、カエルやドジョウなどを狙ってアオサギや白いサギ(ダイサギ等)がやってきますが、県内でも目撃情報が伝えられるコウノトリは、今のところ姿を現していないようです。
弥生時代の人たちにとって水鳥は、田んぼにちなんだ生き物として特別な存在であったようで、まつりの道具であった銅鐸に、魚をついばむ姿を描くものもあります。青谷上寺地遺跡では、水鳥と思われる脚の長い鳥の絵を線で刻む土玉(孔が貫通した粘土の玉を焼いたもので用途は不明)が1点みつかっています。直径3cm程度の小さな球体の表面に、水鳥以外にも魚、シカの計3種の生き物が線で刻まれており、当時の青谷地域の生態系を彷彿とさせる希少な出土品です。描かれた水鳥の正体については、ひとまずサギを候補としておきますが、当時コウノトリが青谷地域に生息していた可能性も捨て切れません。ひと昔前までは、コウノトリは日本中に広く生息していたといいますし。将来、青谷かみじち史跡公園の「弥生の湿地ひろば」にコウノトリが飛んで来ることを期待したいと思います。
土玉に描かれた鳥
コウノトリ アオサギ