日野郡にいると、小さな秋を見つけた…と思う間もなく、大きな秋に囲まれます。
山に囲まれている日野郡では、視界に入る山肌がどんどん秋色になっていくのです。車で走っていても、右も左も秋色になった山の間に秋晴れの空がのぞく…そんな感じです。
虫の声を聴き「そういえば夜は冷えるようになったな…」と、秋の訪れを知るというより、「気づいたら、すっかり秋だな」そう思って、明るい気持ちになります。
「鳥取県は秋こそおすすめの季節だ」という人もいる、晴れ続きの日野郡から、今日は黄色い秋のお話しです。
日野郡はただ目的もなくドライブをしているだけでも楽しいです。とくに秋は。
本当ですよ! こないだまでペーパードライバーだった記者がそう言うのですから間違いありません。
米子市、または鳥取市方面からでも、国道181号で日野郡にお越しになると、まずは右手、日野川の対岸に江尾の銀杏並木がみなさんをお迎えします。
すくっと立つのではなく、日野川に寄りかかる姿は葉なのに「たわわな」と表現したくなる見事さ、温かさ。
電車の窓からも見えます。伯備線の普通電車とおそろいの黄色ですね。
次は、江尾からそのまま進み、日野町の『塔の峰』交差点で右折して180号へ入り、日南町方面へ向かいましょう。
しばらく進んで、日野町の岩井というところを通ると、これまた立派な銀杏が3本ほど真っ黄色になって道路にせり出さんばかりです。
止まって眺められるところはありませんが、見えてくるだけで、ああ、立派だな、と思われるでしょう。
※よそ見運転には注意です
見事な銀杏というものは、美しいというより、立派だな、趣があるな、そして、なんだか見守られているような幸せな気持ちになります。黄色がハッピーカラーというのは本当ですね。
そして、たどり着くのは銀杏の大トリ、『日野上の大銀杏』です。
日南町の旧・日野上小学校の校庭にある一本の銀杏の巨木。この時期になればローカルニュースで取り上げられることも多く、インスタ映えする名所でもあるので、『日野上の大銀杏』としてすっかり有名になりました。
(イチョスタグラムの枠、貸し出し中。撮影時に使ってください⇒ )
日野上の大銀杏は、シーズン真っ盛りの11月5日~20日の間は自家用車での訪問はできません。日南町役場または道の駅日野町の郷から出るシャトルバスで行くか、自転車、徒歩で行きましょう(道の駅へは、生山駅からコミュニティバスに乗るか、徒歩20分です)。環境保全に充てるため、入場料200円がかかります。
■詳しくはこちら>>よりみちにちなん 日野上の大銀杏2022
記者が着いたのは朝10時すぎ。平日ということもあり、運動場に人はまばら。大銀杏は、まだ柔らかい朝の陽射しの中で、なんだか寝起きのよい子どものようにたたずみ、こちらに向かって微笑んでいるようです。
立派な大木なのに、どうにも愛らしく、あどけない感じがするのはなぜでしょう。
大きな木のまわりを一周し、ベンチに座って眺めます。
「見ればそれなりにキレイだろうけど、長居するものではないだろうな」と思っていたら、どうでしょう。
なかなか立ち上がるタイミングがありません。見ていて、飽きないのです。
それはそれは立派な銀杏です。たった一本の銀杏だ、と思っていたら、「一木当千」のよさでした。
ここで、あえて「素晴らしさ」ではなく、「よさ」と表現しました。ここはシンプルに「よさ」と言った方が立派な黄色い木の明るさ、温かみ、感じのよさが伝わると思ったからです。
ゴージャスではない。グラマラスでもない。ただ明るく、感じがよいのです。
気づけば、けっこうな時間が経っています。名残を惜しみながら、去りましょう。
今回はまだ開店していませんでしたが、キッチンカーも来ていますから、昼を過ぎてから出かけるのもきっと楽しいでしょうね。
最後にもう少し足を伸ばせる方のために、「見上げる黄色」ではなく、「足もと一面の黄色」をご紹介します。
それは、県境に程近いところにある大石見神社の銀杏の絨毯です(JR上石見駅から徒歩圏内)。
ひっそりとたたずむ神社の境内は一面、黄色。人の声も鳥の声もしない中、ただ明るいのとは少し違う、しっとりとした黄色に息を吞みます。
ここでも、ふと記者の顔にこぼれるのは、ひそやかな笑顔。
どんなに見事でも少しばかりのもの哀しさの混じる赤の紅葉とは違う、黄色の「よさ」のなせる業です。
【日南町の観光にかんするお問い合わせ先】山里Loadにちなん 電話 0859-82-1715
とはいえ、日野郡は「赤」もあります。近いうちに、赤の見事さもお伝えしますね。次回をお楽しみに。
日野振興局 2022/11/14