みんなの通勤列車、それは7時35分米子発新見行き…2月3日も伯耆溝口駅に向かう進行方向・左側は真っ白です。
線路沿いの法面(のりめん。傾斜)、まだ芽吹かぬ畑はだれの踏み跡もつかない、成形できないやわらかさの生クリームをお玉でかけたような雪が広がっています。
そこへ曇った山陰の朝らしい、やわらかい朝の陽が差すと、あぜ道と畑の段差にはブルーグレーの影がそれもまた彩りとして生まれるのです…。
この度の大雪もひと段落し、電車の窓までせり出すような雪だれも減ってきて、このままもう降らずに春に向かうのか、それともあと一回くらいは降るのだろうかと、口々にささやきあう日野振興センターです。
(雪だれとは、屋根などに積もった雪がせり出しているのに落ちない状態のことです)
←これが雪だれです。
この雪では江府町の一部で停電・断水、日南町、日野町の一部で農業・畜産関係の被害が出たものの、人命にかかわるような大きな被害がなかったのは幸いでした。
雪がひと段落した1月31日、愛らしい積もり方を見つけたので、ご紹介します。
あらあら、しいたん、かくれんぼ? しいたん…日野町のマスコット(カワイイ♪)
カドのない雪がふんわりと積もって、屋根は「マシュマロ葺き」♪ (日野町野田)
積雪というものは、雪の少ない地域の人には今ひとつよくわからないかもしれませんが、なかなかに大変なもので、雪かきには本当に時間も体力もかかります。その大変さから雪が少ないところに引っ越そうかと考える人もあるほどです。
それでも、度を越さない雪は景色をかくの如く美しく彩ってくれるのですから、ここが一番だと思う気持ちもまた確か(日野町舟場橋付近から見える冠雪の奥大山。令和4年12月の積雪がいったんとけた後)。
生活者としては大雪は面倒です。雪かきも大変、凍結した歩道で転ばないようにするのも大変。
県職員としては雪と聞けば、それは注意報レベルか警報レベルか、積雪は何センチの見込みかと気になり、管内に被害が出ると「よくも降ってくれた」と腹さえ立ちます。
でも、そういった「とにかく大変で用心するもの」という目線を離れたら、やはり雪とは美しく、冬の楽しみをもたらしてくれるものだと思うのです。
日南町で育った60代の女性は、子供のころ、大人のモンペを胸の高さまで履かせてもらって雪の中へ飛び込んで遊んだそうです。まだ行政による除雪がなかったころ、雪ふみさんが雪を踏んで道を作り、児童が学校へ行けるようにしてくれたという思い出も江府町の人が笑顔で語ってくれました。
日野郡への電車やバスがやっと復旧した出勤日、電車の窓の下すぐそこまで雪が積もっていた驚きは忘れられません。大変そうだけど、この白雪を長靴でしゃくしゃく踏んで職場に向かうのだと思うと、なんだか子どものように楽しくなってきたのです(両手を空けられるリュックをしょって…)。
ふとひらめいて、今様つれづれぐさ…
「雪はその無きを、その積もらざるをのみ望むものかは。
雲に向かいて雪をこひ、ふくら雀のごとき童ども、雪中に遊ぶをながむ、いとゑまし」
※ゑまし…笑まし、です。「いとゑまし」で、「とってもほほえましい」(^^♪
ホントの徒然草には「雪はさりげなく鑑賞すべきなのに、そこへ足跡をつけて喜ぶなど見苦しい」と書いてありますけどね。苦笑
(江尾駅のホーム) (根雨駅の駅前)
日野振興局 2023/02/13