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2023年2月15日

大御堂廃寺溜枡復元プロジェクト第2回 (木造建築科)

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 お待たせしました。2回目となる今回は、材料と道具についてお伝えします。

グローバルな物流が実現している現在、お金さえ払えば希望通りのいい材料が手に入ると思いますか? いえいえ、そんなことはありません。まずは木材について当時と現代で比べてみましょう。

      出土品の観察

                                          まずはじっくりと出土品を観察

 前回お伝えしたように、発掘された溜桝(ためます)は7世紀飛鳥時代のもので、実物の材料をよく観察すると種類は杉で縦に平行して木目がきれいに表れる「柾目(まさめ)」が多く使われており、さらに四面ともに柾目になる「四方柾(しほうまさ)」も使われているのです。

  出土品の柾目の様子1 出土品の柾目の様子2

                                                      出土品の柾目

 写真を見ると木目が詰まっていて、きれいな柾目の状態がわかりますね。

 特に四方柾は見栄えがよく、現代の家屋では柱に使われるような高級材料とされていますが、その理由は一本の丸太から取れる部分が少なく、大きな材料が必要であれば丸太の直径は年輪を重ねた太いものが必要となるためなのです。

       四方柾が取れる場所

                                                木目の方向と四方柾

  上の写真は、丸太から取れる四方柾の場所を説明しています。 

   A、B、Cではどの部分が四方柾になるでしょうか? 赤で示した線は木目の方向です。

  正解はCですね。四辺とも柾目となると範囲はとても限定されることがわかります。

  出土した木材の寸法から推測すると、原木の直径は1メートル以上ではないかと思われますが、伐採、運搬、製材、加工これらすべてが人力であることを考えると、当時の苦労がしのばれます。

      きれいに加工された隅柱

                   きれいに加工された出土品の隅柱

  およそ1300年の昔、良質で豊富な森林資源が存在したことの証を出土品は物語っています。そして当時の職人が持つこだわりや、美意識などがそのまま現代に引き継がれているのです。

  良質な国産材の入手が容易でない現在、改めて資源保護の大切さが伝わってきますね。

  続いてお伝えするのは、材料と関係の深い道具の話です。

  大工さんが使う道具は、鋸(のこ)や鉋(かんな)、さらに電動工具などは当たり前の現代ですが、その昔、飛鳥時代の木工(もく)と呼ばれていた大工さんは、今ではあまり目にすることのない道具を使っていました。 

  中でも釿(ちょうな)は、鉋(いわゆる台かんな)が登場するまではこの釿で粗く削り、槍鉋(やりがんな)で表面を整えていたということで、古墳からも出土しているそうです。

      手作りの道具

                    手作りの釿(ちょうな)

 今回は道具にもこだわって、この釿も刃物を除く部分を自前で製作してみました。

 その使い方はというと、足を広げ釿を振り下ろして使います。

      ちょうなを振り上げる ちょうなを振り下ろす

                       釿を振り上げて                                      振り下ろします

  いかがですか? 簡単そうに見えますか?

  いえいえ、作業者の視点は上からのため材料に食い込む深さはわかりづらく、きれいな平面を作るにはかなりの熟練が必要なのです。

      ちょうなの先端

                           釿の先端

  刃先は固い木材を削るため切れ味がよく、しかも体にこたえる姿勢が長時間続くことによる疲労が想定されます。当時の苦労がしのばれますね。

  このような道具なので当然出来栄えには職人の技量や性質が現れ、出土品についてもそれぞれに個性が見て取れ興味深いのです。

     復元品の削り跡  出土品の削り跡

                     復元品の加工面                                         出土品の加工面

  出土品の加工面と復元品の加工面を比べてみてください。

  いかがでしたか? 今回は材料と道具についてお伝えしましたが、古から学び現代に活かして伝統を受け継ぐ取り組みに、今後も向き合ってまいります。

  なお、木造建築科では訓練生を募集しています。 皆さんも一緒に学びませんか? 興味のある方は、ぜひ当校ホームページをご覧ください。

2023/02/15 in 木造建築科

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